「らだぁ!誕生日おめでとう!」
底抜けに明るい太陽のような声を後ろから投げかけられる。俺はすぐに誰かわかり、その人物の名前を言いながら声のする方へと振り向く。
「おい天乃…」
振り向いてすぐ、俺の目に映ったのは彼の顔ではなく、小さなプレゼント箱だった。
それは綺麗に包装されたものではなく、ところどころがシワになっていて、おそらく彼自身がこのプレゼントボックスを作ったのだろうと安易に想像できた。
「なにこれ」
俺はプレゼントボックスを指差し、彼にそう問う。彼は目を光らせ、自慢げに「俺がお前のために作った誕生日プレゼント!!」と胸を張って言ってきた。
俺はそれを受け取り、彼から了承を得て中身を見てみた。
中には四葉のクローバーが一つ、ポツンと入っていた。
「四葉のクローバー?」
「そう、四葉のクローバー!これ探すの大変だったんだからなあ!?」
彼は身振り手振りを使って自分は苦労したんだということを俺に説明してきた。それに対し俺は「お疲れ」と彼に一言投げかけ、どうして四葉クローバーを誕生日プレゼントに選んだのかを聞いた。
「ん?お前、四葉のクローバーの意味知ってるか?あ、知らないんだったら俺が教えて〜…!!」
「いや知ってる。幸運だろ?」
「あー…なーんだ知ってるのかよ。そうそう!らだぁに幸運が訪れますよーにっていう俺からのお祈り!!!」
なんだそれ。と俺は呆れる。まだこいつは花言葉なんか信じてるのか。けどなんだか俺はそれが無性に嬉しくて思わず笑みが溢れた。
そんな俺を見て天乃は目を丸くしとても驚いているようだった。
俺らの周りになんだか甘い雰囲気が流れ始め、妙に照れ臭くなり俺はランドセルを勢いよく担いで、そのまま走った。
「おい猿山…!!!!」
後ろからまた、彼の声が聞こえる。いや、彼にしては声が低い。俺は不思議に思いながらも後ろを振り向く。そこに立っていたのは先ほどまで一緒にいた天乃ではなかった。いや、天乃ではあるんだろう。しかしその姿は大人のようで身長も成長しきっている。なんだこれ、夢か?とほおをつねってみるが痛い。どうやらこれは現実なようだ。
そこで俺はようやく気がついた。ほおをつねった自分の手が、明らかに小学生の手をしてなかったということを。その手は今の天乃と同じ、大人のような骨ばってる手をしていた。
「どうしたんだよ天乃、そんな怖い顔して」
俺は天乃に歩み寄る。しかし距離は一向に縮まらない。天乃も俺が近寄るにつれ後ろへ後ずさっているからだ。しかもあいつはポケットから銃なんか取り出してきた。まぁきっとあいつのことだからオモチャの銃なんだろう。俺を脅かそうとしているのか?
「おい天乃、まさか俺が帰り置いて帰ったのを怒ってるのか?」
「ん、?…あぁ、そんなこともあったな。」
まるで数十年前のことを思い出したかのように語りだす彼。その時の彼の顔は今にも泣き出しそうな顔で笑っていた。
俺はなんだか天乃を抱きしめなければという衝動に駆られていた。俺が手を伸ばし彼に近づこうとした瞬間、彼は引き金を引いて、俺の心臓を目掛けて打った。しかしその弾はふわふわと俺に向かってきて、狙っていた左胸ではなく、お腹あたりに撃ち込まれた。そして俺は痛い。という感覚と共にその場に倒れた。
あぁ、そうだ。俺は今小学生じゃない。さっきまで見ていたのはただの幻覚だ。
数秒後、天乃は俺の下にゆっくりと歩いてきて優しく抱きしめてきた。あぁ、俺が抱きしめてやろうと思ったのにな。
「猿山、今日はお前の誕生日だな」
あぁ、そういえば今日、俺の誕生日だったな。
「…もう、らだぁってよんでくれないのか」
そういう時彼はははっ、と笑い首元に巻かれていたスカーフを取り、ポケットの中から何かを取り出しそれをスカーフで包み込んだ。
「おめでと、」
祝いの言葉と共に彼はプレゼントらしきものを俺に差し出してきた。俺はそれを受け取ろうとしたが、もう体も動かせないようでそれを見た天乃は気を遣って俺の代わりにスカーフの中からプレゼント本体を取り出した。それでは意味がないんじゃないかと思ったが、今はこんな状態だ。仕方ない。
プレゼントはどうやら四葉のクローバーのようだ。ああ、小学生の頃もプレゼントされたな。そんな懐かしい思い出を思い出す。
「猿山、四葉のクローバーの意味って知ってるか?」
「…復讐、だったか。はっ、ピッタリだな。」
俺は鼻で笑い、そう言い放った。そうだ、俺はずっとお前のことが、
「お前のことが、嫌いだったんだ…」
「猿…いやらだぁ実は他にも意味はあるんだぜ。それは_______ 」
俺はもう一つの花言葉を天乃の口から聞き、思わず笑ってしまった。彼の方を向き、からかってやろうとしたが、ふと首元の傷に気がついた。「あれ、お前その首の傷…というかスカーフなんて元々してなかった…」俺は疑問に思いながら彼の首に触れた。
その瞬間、天乃は俺の手を払いのけた。俺はそこで意識を失った。
彼の首の傷から血が流れ始め次の瞬間首が落ちた。小学校の廊下にボトッと首が落ちる音が響いた。
小学校には男性2人の死体が取り残されている。
四葉のクローバーの花言葉
「幸運」 「復讐」 『私のものになって』
コメント
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初コメ失礼します! こうゆうの大好き!!(๑♡∀♡๑)