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【好きです、付き合ってください。】
と、丸字で書かれた1切れの紙。
私「…誰だ?」
4限が終わり、教室に戻ると私の筆箱で抑えられた見覚えのない紙を見つけた。
開けば私宛のようで、端っこに私の名前が書いてあった。
私「…まぁいいか。ごはんたーべよー!」
送り主が分からないので、とりあえずノートに挟んでご飯を食べに食堂へ行った。
数十分後___.
教室に戻ると、また机には紙が置かれていた。
貴「また、?ほんと誰なんだろう…」
【放課後、放送室前にある机のノートの最終ページを見てください。】
なんだかゲームみたいで少し楽しい。
放課後____.
貴「思わず来ちゃったけど…」
緑色のノートを手に取って、最後のページを見る。
【明日の朝7時半から、放送室で待ってます。】
貴「…これだけ!?」
まさかの展開に笑いがこぼれた。
貴「てか7時半って、早すぎ〜!」
おかしくて笑ってしまう。
こんな事をするのは一体誰なんだろう。
貴「行くね、待ってて!…っと」
ノートのメッセージの下に、待っててと返事をした。
翌日___.
手紙の主を探すべく放送室へと向かう。
時刻は7時半ピッタリ。
コンコン…
貴「…失礼します」
久々に入る放送室には相変わらずCDが沢山あって、なんだか知らない機会も増えていた。
そして、誰も居ない。
貴「…あ」
機会に緑の付箋が貼ってある。
また同じ丸字。
【やっぱり空き教室で待ってます。】
貴「な…自由だなぁ〜も〜!!」
もうヤケになって急いで階段を駆け上がり、渡り廊下を渡って唯一ある空き教室へと足を運んだ。
貴「はっ、はぁ、ッきっつ!」
汗を拭いながら空き教室の扉を開ける。
貴「…居ない!!!?!?」
また居ない。
急いでメモを探して次の所に行かないと、もうみんな登校してきちゃう!
貴「…あった」
黒板にまた緑の付箋。
【外】
貴「外…?」
窓をガラッと開けて、吹き込む朝の風を感じる。
和「やっときた」
貴「…何してるの?」
彼は居た。ベランダにしゃがんで、中からは見えないようにうずくまっていた。
和「なぁ、プリン食べる?」
貴「食べたいけどその前に、貴方名前は?」
和「かーずーやー!覚えてな!」
貴「覚えてな!って…今までの手紙全部貴方?」
和「うん!好きやで?」
優しく笑う彼は、純粋に好きを伝えてきた。
貴「…私のどこが好きなの?」
和「声」
貴「…声?」
和「放送委員なんで辞めちゃったん?」
貴「…貴方何年生?」
和「高3」
貴「ッ先輩!?」
和「そやで?後輩に見えたー?」
貴「いや…お顔可愛らしいなと思いまして…」
和「ひゃっひゃっ!ありがと〜」
なんか愉快な人、どうして私なんだろう。
私は放送委員だった。
中学から高二の春まで。
声の調子があまり良くなくなって
掠れて、なんだか出しずらい。
病院に行ったら少し掠れた状態は残ると言われた。
アナウンサーになりたかった。
きっともうなれないと悟った。
放送委員も、未練タラタラみたいで嫌だから辞めた。
貴「今の声はダメです。」
和「今の声も好きやで?」
貴「ふふ、ありがとうございます」
和「俺もカスカスやん?声」
貴「…ハスキーボイス?」
和「でも歌ったらちゃんと出んねん」
貴「歌…?すごい」
和「そ、今のその声も絶対良さがあるよ」
貴「…そうだといいなぁ」
和「声優さんみたいな、綺麗な声やん」
貴「声優…?」
和「耳に残る声、可愛ええよ」
貴「ッ…」
和「あ、照れてる?」
ニヤッと笑って頭をクシャッと撫でてくる先輩。
この人は暖かい。
ちょっと意地悪?
一緒に居たら笑顔になる。
安心する人。
和「好きやで?」
貴「ッ…分かりましたから!」
和「顔真っ赤っかやな〜!」
貴「うるさいです!!離してくださいッ!」
和「あ〜待って〜!!手紙の返事は〜!?」
貴「まだ会ったばっかりですよ!?無理です!」
和「え〜」
まだ、芽生える恋には気づかない。
《手紙》