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『再構築システム起動』
機械音声が響く。
生命演算樹が、
ゆっくり発光を始めた。
白銀の枝が広がる。
空間中に、
光の粒子が舞った。
まるで雪みたいだった。
『対象個体:RX-00』
『生命定義再構成を開始』
リョーカの身体が、
ふわりと浮かび上がる。
「……っ」
モトキが思わず手を伸ばす。
だが届かない。
透明な障壁が、
二人を隔てていた。
リョーカは空中で笑う。
少し不安そうに。
「なんか、変な感じ」
黒い侵食が、
身体中を駆け巡る。
それを押し返すように、
白い光が流れていく。
『ヴェルトラウム因子分離開始』
『侵食率87%……89%……』
ヒロトが顔をしかめる。
「増えてんじゃねぇか!!」
少女も珍しく焦っていた。
『想定以上に融合が深い』
『このままでは――』
その瞬間
リョーカが苦しそうに息を呑む。
「ぁ……!!」
全身が痙攣する。
黒いコードみたいなものが、
皮膚の下を走っていた。
モトキが障壁を殴る。
「リョーカ!!」
『近付かないでください』
少女が叫ぶ。
『現在、RX-00内部でヴェルトラウムが抵抗しています』
空間が揺れる。
次の瞬間
リョーカの背後に、
巨大な黒い影が現れた。
ヴェルトラウム。
無数の顔
無数の目
だが以前より、
ずっと不安定だった。
『RX-00』
ノイズ混じりの声。
『なぜ離れる』
『我々は一つだ』
リョーカが苦しそうに顔を上げる。
「……違う」
『孤独になるぞ』
「それでもいい」
『痛みがあるぞ』
「うん」
『失うぞ』
その言葉に、
リョーカの目が揺れる。
失う
怖い
それは本音だった。
また一人になるかもしれない。
また壊れるかもしれない。
でも
リョーカは、
ゆっくり笑った。
「でもね」
震える声で。
「誰かを好きになれないより、ずっといい」
その言葉が放たれたとき
黒い影が揺らいだ。
ヴェルトラウムが、
理解できないものを見るみたいに。
『……理解不能』
「うん」
リョーカの目から涙が零れる。
「ボクも最初は分かんなかった」
その視線が、
モトキとヒロトへ向く。
「でも二人が教えてくれた」
モトキの胸が締め付けられる。
「一緒に笑うの、楽しかった」
ヒロトが顔を背ける。
「帰る場所があるの、嬉しかった」
光が強くなる。
黒い侵食が、
少しずつ剥がれていく。
『分離率上昇』
『42%……57%……』
少女が目を見開く。
『成功率が回復しています』
だが
その瞬間
ヴェルトラウムが咆哮した。
黒い影が、
一気にリョーカへ絡みつく。
『ならば共に来い』
『再び一つになれ』
リョーカの身体が引き裂かれそうになる。
「っぁ……!!」
モトキが叫ぶ。
「離せ!!」
障壁を撃つ。
何発も。
だが壊れない。
その時。
ヒロトが静かに前へ出た。
「モトキ」
「……なんだよ!!」
「お前、リョーカに言いたいことあるだろ」
モトキが息を呑む。
「今言わねぇと、多分後悔するぞ」
リョーカが苦しそうにこちらを見る。
消えそうな目。
モトキは拳を握った。
そして
声を張る。
「リョーカ!!」
空間に響く。
「お前が人間かどうかなんて、もうどうでもいい!!」
リョーカの目が見開かれる。
「お前が笑ってると安心するし」
「いねぇと寂しいし」
「だから――」
喉が震える。
でも
ちゃんと言う。
「帰ってこい!!」
「青リンゴ商会は、お前がいないと完成しねぇんだよ!!」
次の瞬間
リョーカの瞳から、
大量の涙が溢れた。
黒い侵食が、
音を立てて剥がれていく。
『感情同期異常』
ヴェルトラウムが揺らぐ。
『個体感情……理解不能……』
リョーカが泣きながら笑う。
「……っ、もう」
ぐしゃぐしゃの顔で。
「ほんと、ずるいよぉ……」
コメント
1件
うわぁぁぁぁ第33話……!!😭💕✨ リョーカちゃんの「誰かを好きになれないより、ずっといい」で一気に涙腺崩壊したんですけど…!!モトキの「帰ってこい!!青リンゴ商会はお前がいないと完成しねぇ」の叫びも刺さりすぎて無理…🥺💘 ヴェルトラウムが「理解不能」って戸惑ってるの、感情って最強の武器だなって思いました…!リョーカの「ずるいよぉ」で完全に持ってかれた🎀⋆ 次回どうなっちゃうの…!?