TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

「……分かった。もう、関わんない。あんたとあたしは別々の道を行くから。これでさよなら。バイバイ。」


そーっと手のひらから顔を出したのは…お札が1枚と小銭。


それが、ここの部屋代だと一目で理解した。


「姫…」


「邪魔。」


私のことを脇目も振らず、背を向けて部屋を出ていく。


全てのものを拒否するオーラに囲まれた後ろ姿を、見送ることしかできなかった。


――パタン――


力なき閉められた扉を見つめる。周りには、姫菜が吸ったタバコの吸い殻と飲みかけのコップが2つ。


そして一人になった私。静寂しかなかった。


呆気にとられていた私も、徐々に状況が頭に入ってくる。


(そっ…か。私…姫菜に縁切られたんだ…別にいいけど。姫菜とは友達でも何でもない。ただ援交とかで情報交換とかするだけの関係だったし。寂しくなんかない。)


そう、本心でそう思っている。それなのに言い聞かせているような気分になるのは何故だろう。


そんなことはどうでもいい。とにかく動かなきゃ。



――ブー、ブー――


思考を巡らせていた時、ふいに携帯が振動する。


私は、力なくカバンから取りだし、視点の定まらない目で画面を確認する。


そこには、お店の番号が表示されていた。


こんな時に…と、正直取りたくなかった。しかし仕事のことかもしれないので、そういう訳にもいかず、仕方なく携帯を耳に当てる。


「お疲れ様ですっ!!藤塚でーす!!」


いつも通りの私を演じるのが、今はしんどい。


loading

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚