コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
内心、大きなため息をついた時、声が聞こえた。
「も、もしもし。藤塚さん?お疲れ様です、店長の代田です。」
「っ……」
受話器越しに伝わる、柔らかくてちょっと抜けた声。
頑なになっていた心がほぐれていく。
どうしてこの人はいつも、私が何かあった時に現れるのだろう。
どうして…それだけでこんなに安心するのだろう。
普通のおじさんなのに。男なんかに安心するなんて。
『藤塚さん?』
再び呼び掛けられて、はっとなる。
「あ…す、すいません…。お疲れ様です。」
『ごめんねお休みのところ。今、大丈夫かな。』
「はい…。」
優しい声色に、心が熱くなる。無意識に、心臓をぎゅっと抑えていた。
(私…何やってんだろ。店長なんかと話したって嬉しくないのに。)
頭では否定しても気持ちはなかなか追い付かない。
『よかった。いやぁー、突然なんだけど食品の遅番の子が辞めちゃってさ。代わりの人が入るまで急遽、俺が明日から遅番することになったから。』