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第7話:捻じれた記録
「そんなはずない……俺は、そんなアカウント作ってない!」
結衣は首を傾げた。
「でも、データには残ってる。」
机の上のタブレットに、ログイン履歴が表示される。
そこにあるのは、見慣れた指紋認証のパターン。
陸のスマホと一致していた。
「ZEROの正体は、あなた。
でも——あなた自身は、それを“忘れるように”プログラムされてる。」
言葉の意味がわからなかった。
「どういう……ことだよ」
結衣は黒板に数字を書いた。
8:12
23:58
10月25日
「すべて、あなたの“記憶が壊れた時間”。
爆破も火災も、現実では起きてない。
でもあなたが“そうだった”と記録したから、世界が再構成されたの。」
陸の頭が痛む。
昨日、聞こえた声。
——“記憶は爆発する”
それは、警告だったのか。
その瞬間、教室のドアがノックされた。
結衣が振り返る。
扉が静かに開く。
入ってきたのは、川嶋先生。
血走った目で、笑いながら言った。
「朝倉結衣先生、授業はもう終わりですよ。」
その声を聞いた瞬間、
世界がまた歪んだ。
机が反転し、天井が床になる。
クラスメイトたちが笑いながら逆さに吊られていく。
壁の時計だけが、逆回転を始める。