テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
878
#めめなべ
#ご本人様には関係ありません
コンソメパン
17,364
【深澤とふーちゃん】
それは、ダンスレッスンの帰り。午前中から続いたレッスンは15時で終わって、疲れたねなんて言いながら阿部ちゃんと二人でコンビニに寄ることになった。暑いからアイスでも買おうかって話して、アイスを眺めてた時。
突然、店員の悲鳴が聞こえた。二人の男が銃を持って入って来てて、それから、パトカーのサイレンも聞こえた。コンビニ強盗じゃない。この人たち、何かやって警察に追われてたから立て籠もるつもりだ。
俺も阿部ちゃんも、他の客三人と店員二人がお店の奥の方に追いやられる。犯人は相当、焦ってた。
ただ黙って様子を伺う。まだ小学生だから、異能は使えるけど、どう使ったら助かるのかもよく分からなかったし、外に警察がいるならきっと大丈夫だって。でも、犯人は苛立った様子で商品棚を蹴ったり飲み物をバラまいたり、正直、怖かった。
その時だった。入口のドアが開いて煙幕みたいなのが店内に広がって、バタバタと足音もする。
「動くな!」
武装した警察が、犯人に向かって銃を構えてる。別の方から来た警察官が、他の客たちを誘導してる。助かったって思った。
だから安心して俺も行こうとして。
💚「うわっ!」
後ろから聞こえた声に振り返ったら、阿部ちゃんが犯人の一人に捕まってるのが分かった。
💜「阿部ちゃん!」
俺ももう一人に捕まって、身動きが取れなくなる。警察が、じりじりと後退させられてる。どうしよう、どうしよう。
それでも警察官の一人が銃を撃って、それが犯人の後ろのガラスに当たって割れた。でも犯人は怯まなかった。そして、苛立った犯人の体が青く光って、天井から落ちてきた雷に阿部ちゃんが打たれた。
💚「っ!」
倒れ込んだ阿部ちゃん。床は壊れたペットボトルから流れた水で濡れてて、その上に阿部ちゃんが横たわる。
もう、そこからは何が何だか分からなかった。
気付いたら店中が鋼で覆われてて、犯人もガチガチに固まってて、銃を撃った警察官すらも鋼の塊になってた。
💚「ふっか、ふっか!」
阿部ちゃんの声でハッとする。倒れたままの阿部ちゃんが、俺を呼んでた。そうしたら、店内の鋼が少しずつ剥がれていった。
たくさんの警察官が駆け付けて、バタバタと動いてて、それを俺は呆然としながら見てた。
救急隊も来て、阿部ちゃんは救急車に乗せられていって、それでも俺は動く事ができなかった。その後の事情聴取も、何を言ったのか憶えてない。
気付いたら家に向かって歩いてて、家の近くまで来た時に、その姿を見つけた。
💜「ふーちゃん?」
目の前にいたのは、巨大なカラスの姿をしたふーちゃん。毛じゃなくて、鋼で覆われたふーちゃんで、家くらいの大きさをしてた。
💜「ふーちゃん、何で?」
紫色のオーラで包まれたふーちゃんは、目も炎のような揺らめきがある。
そこで気付いた。自分の体も、紫色のオーラで包まれていることに。体も熱い。これがオーバーロードなんだって。
襲い掛かってくるふーちゃん。本能的に、戦わなきゃいけないんだって分かった。だから広い場所を目指して走る。ふーちゃんが追いかけてくる。鋼の羽根が地面に刺さる。それでも走る。近くにある大きい公園。もう、夜に近づいてるから人はいないはず。
そこまで走って行って、公園の中に入ると立ち止まって、振り返る。
大きく翼を広げたふーちゃん。鋼の羽根を、横に飛んで避け、俺も鋼の刃をたくさん出して攻撃する。相手がふーちゃんでも手加減しない。ふーちゃんが動けなくなるまで戦わないと終わらないと、そう、感じたから。
これはボス戦だ。相手のHPを削る戦いだ。ふーちゃんの頭の上に、ゲームみたいなHPバーが見えているから。
だから、攻撃し続けた。
決着がついたのは、一時間後だった。
手に持っていた剣で斬りつけて、HPが0になるとふーちゃんの体はみるみるうちに縮んでいって、俺の小さい手よりももっと小さい、ふわふわの丸い鳥になってた。
💜「はぁ、はぁっ……終わった……」
ふーちゃんを手に乗せて、地面に寝転がる。
疲れた……。
💜「ふーちゃん……お疲れ様」
ふーちゃんを手に乗せたまま、地面に大の字になって、そのまま目を閉じた。
その後、いつまでも帰って来ないから心配になって探しに来た両親に、公園で寝ているところを発見され、こっぴどく叱られたのだった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!