テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
878
#めめなべ
#ご本人様には関係ありません
コンソメパン
17,364
【佐久間の救出劇】
それは大規模な集中豪雨の翌日のこと。
異能関連ではないけれど、特務調査局に緊急の要請が入った。川に挟まれた地域で大規模な水害が発生。川が氾濫して、家が次々に飲み込まれているという。現在でも、屋根だけしか残っていない、三階以上のアパートでも屋上に避難しているという状況。しかし、この後も雨が降る予報が出ている。
一刻を争うからと、深澤のふーちゃんで現場に急行した。
目黒の蔓で流木をせき止め、流されそうな家を重力で固定し、ラウールが岸から近い家に橋を作り、体の冷えた人を岩本の炎の熱で温める。全体の指揮を執るのは阿部で、渡辺は周囲の安全確認と阿部の護衛。深澤がふーちゃんで飛び回り、佐久間は粒子転移でそれぞれ救出を行っている。
🩷「もう大丈夫ですよ」
安心させるように声をかけながら、佐久間は転移を繰り返す。
この地域一帯を水が覆っているから、数が多い。だから何往復もする。次第に、佐久間は自分の体が縮んでいくのを感じていた。
🩷「やば、戻らなくなってきてる」
それでも、異能を止めるという選択肢はなかった。
今止めれば、助かる命が助からなくなってしまう。他のメンバーも、明らかに小さくなる佐久間を見ても、止められない。もう休めと、言うことが出来なかった。
💜「佐久間! あともう三軒くらいだから任せて戻れ!」
🩷「わかったー! あ、このワンちゃんだけ連れてくね!」
屋根の上に立ち、ふーちゃんの上から声をかけてきた深澤に返事をすると、佐久間は子犬に触れて粒子転移をした。
近寄ってきた阿部に子犬を託したところで、佐久間は地面に倒れ込む。
🩷「あー。めっちゃ、ちっちゃくなったー」
思わず、笑いがこみ上げてくる。
💙「サイズ、見るか?」
巨人になった渡辺が、500ミリのペットボトルを佐久間の隣に置いた。座り込んだ佐久間は、それを見上げる。
🩷「うわ、俺、今こんなん?」
💙「こんなん。さっさと集めて来い。ここで待っててやるから」
🩷「んー。じゃあ、ちょっくらいってくるわ」
地面に座ったまま胡坐をかいて、目を閉じ、手元はまるでゲームのコントローラーを握っているかのようになる。
頭の中に浮かんだのは、黒い空間に浮かんだ「ロストピース-失われた粒子-」という文字と、ドット絵の自分の姿。タイトルの下にはNEW GAMEの文字があり、選択するとぼやっと道が見えた。壁で区切られた道の周囲が丸く明るくなっている。それはまるで、そこだけスポットライトが当たっているかのよう。
🩷「よっしゃ、いきますか!」
気合いを入れて進んでいく。何度か角を曲がった先に、ピンク色の四角い箱が見えた。あれが、佐久間の体から離れた粒子だ。一つ触れると、現実の佐久間の体が一回り大きくなった。
🩷「うん、今回は迷路タイプだからいけそう」
💙「お、佐久間、順調?」
🩷「順調、順調。敵っぽいのもいないし、迷路さえクリアすればいいみたい」
💙「ああ、前ん時はボス戦もあったんだっけ?」
🩷「そう。雑魚だけなら平気だったのに。中だと避ける、踏む、しか攻撃方法ないんだよ。あれはきつかったー。お、二個目発見」
そう言ってすぐ、再び佐久間の体が一回り大きくなる。
この調子でいければ、数時間で元通りになりそうだ。
🩷「夜までには戻れそう」
💙「そりゃ良かった。もうちょっとしたら避難するから、一回、セーブしとけよ」
🩷「あ。セーブポイントまで待って!」
💙「ん。したら教えて。そのタイミングで連れてく」
🩷「ラジャ!」
結局その後、佐久間が全ての粒子を見つけて元に戻れたのは、21時を回った頃だった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!