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近代的な街の端サイバーパンク風な場所には似つかわしくない山がある
そんな場所で泥水が跳ねる音がする
それは止まるところを知らない
まるで自らの汚れを気にしないかのように
1人の警官が歩み続ける
「良くぞここまで辿り着いた若き平和の忠犬よ」
「ようやく追い詰めたぞ老いぼれ!」
男は古めかしいリボルバーを構える今の時代に使っているのは相当な銃愛好家であろう
「….ふはははぁ!!」
目の前の老人は銃を向けられているにも関わらず逃げようともせずに笑い続ける
「何がそんな可笑しい!?」
「嗚呼、落ち着きなされ忠犬よ」
「黙れ”月呼びの去り人” もう戦争は終わったんだ月の呼び声に応じる必要はない」
ーー”月呼びの去り人”ーー
過去の戦争にて文字通り月を呼んで敵軍を灰に帰した老人…そのような過去を持つことから恐怖と尊敬を込めて老人はこう呼ばれた
そう
月光に照らされるは終焉を呼ぶべき者ーー月呼びの去り人ーーと
「その場に手を挙げて後ろを向け!そのまま手を結ぶんだ!」
男は近づいていくまるで警戒心がないかのように
(どこから来やがる!?こいつがこんな抵抗しないなんておかしい!)
内心はそれどころではなかった
老人は両腕を上げた
「OKそのまま後ろを振り向け」
「勿論だとも…この老い朽ちた身なんぞに成すべき力などありもしない」
警官は安堵したのか無警戒に歩いて行く
シュン!
ふと何かが横切った
「獲物が狩人の言葉を信用してはならんであろう?」
次の瞬間警官の首と胴は切り離された
ボト
地面が真っ赤に染まる
警官の頭は驚愕の表情で固まった
「嗚呼、先の戦争の遺物は残り続けなければいけぬのだ…亡き者にされるは辛かろう?」
茂みが揺れる
「こんなとこにいたのか!ジジイ!呼び出しだぞ!」
茂みから出てきたのは
ーー”短き永遠の聖職者”ーー
過去の戦争にて最前線で戦った者であり時を操り敵軍を亡き者にしたとされている
戦争にて呼ばれたその名は
ひと時目を閉じたらば次に映るは自らの胴と頭
時を無視した矛盾として呼ばれるはーー短き永遠の聖職者ーー
「すまないね、月に魅せられた者が居たようでな」
「はぁ…あんたのその昔ながらの言葉はやめられないのか?」
「先が短き者に言うは酷であろう?」
「忘れてたあんた自分の信念は絶対曲げないんだったわ」
聖職者はやれやれと言った感じでため息をつく
しかしやるべきことを思い出したのか再度口を開く
「と言うかさっさと行くぞ!時間押してんだから」
「嗚呼、いつも通り頼むとするよ」
「はいはい…」
次の瞬間2人の姿が消える
今この場に残されたのは亡き者になった警官のみであった
ーーーーー
嗚呼其方も月に魅せられたのかい?
ここで巡り会ったのもまた何か定めだったのだろう
我々の一つの”本”を見たのかい?
ならば感想というものが必要だ
是非とも遺物を見続けてくれたまえ