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episode 2
朝日が昇り始め、夜明けの中を2人は進み続ける。
?「しっかり俺に捕まっておけ。さもなければ落ちて足が折れるぞ。」
淳「………。グスッ」
僕は唯一の姉を亡くした悲しみと、これから何をされるか分からない恐怖心でいっぱいだった。
_須美の喜ぶ笑顔を見るのが好きだった。
市場で得たお金で商店に出歩き、よく須美が好きなペンダントを買ってはあげていた。
何かあげるたびに須美は、
「うれしい‥!!淳ありがとう、淳が弟で本当によかったよ!」と僕の頭を撫でてくれる。
僕は、須美の笑顔を見ることで幸せを感じていた。
たとえ貧乏でも、好きなものを買えなくても、須美がいれば関係なかった__
確かさっき姉さんが死んじゃったときも……僕があげたペンダントを付けていたっけ。
涙が止まらない。
なんで鬼になんかなっちゃったんだよ。姉さん…
そう悲しみに浸っていると、男が察したかのように口を開いた。
?「…姉の件は悪かった。」
その低く落ち着いた声に怒りが湧く。
淳「…‥悪いで済まされると思ってるんですか。」
男はいくつか黙ったあと、また口を開いた。
?「すまない、…しかし、これは俺の“仕事”なんだ。」
淳「“仕事”…?」
?「あぁ、少し鬼について説明をしようか。」
「人は鬼の血を体内に含むことで鬼へと変化する。鬼化したあと、鬼は飢餓状態となり、まず血縁が同じ栄養価の高い家族を食らう。」
「鬼は人を食えば食うほど強くなるんだ。お前の姉ももう少しで飢餓状態に陥るところだった。」
「俺が来ていなければ今頃お前は…ただの骨になっていただろう。」
淳「……恐ろしい‥」
?「そうだろう。しかし、鬼にも弱点が存在する。」
?「日光に当たれば、どの鬼も皮膚が焼けただれて死ぬ。首をはねば、そのまま体が崩れて死ぬ。」
淳「そうなんですか…(だから姉さんも…)」
……
?「そういえば自己紹介が遅れたな。」
富岡「俺の名は富岡義勇、水の呼吸の使い手だ。」
淳「水の呼吸?」
富岡「あぁ、まぁ‥詳しいことは御館様が教えてくださる。」
富岡「お前は選ばれし人間だ。御館様もさぞかし喜ばれることだろう。」
このときの僕には、富岡…というやつが何を言っているのか理解できなかった。
✂ーーー
~ 産屋敷邸に到着 ~
*そこには、**“柱”*と呼ばれる9人の者達が、僕の登場を待っていた。
富岡「事前に鎹鴉で知らせた通りだ。例の者を連れてきた。」
富岡がそう言うと、彼らは僕の周りに集まり、口々にこう言った。
(煉獄)「これが三ケ峰様の息子か!! 珍しい髪色だな!」
(悲鳴嶼)「生まれる前に父を亡くすとは……かわいそうに、南無阿弥陀仏……」
(甘露寺)「キャーー! ちっちゃい!かわいいっ!!♡」
(当時淳は154cm(13歳))
僕は訳が分からなかった。
この人達は誰だ?
どうして僕はここに連れてこられたんだ?
淳「(誰なんだこの人たちは…怖い……。)」
(胡蝶)「こらこら、怖がってるじゃないですかぁ。それに、もう御館様がお見えですよ?」
小柄で不気味なオーラを纏う女性が放った一言で場の空気がピシャっと変化した。
彼らはこの一瞬で“御館様”と呼ばれる人に跪いたのだ。
きっとこの団体の司令官…のような存在なのだろう。
その御館様は顔半分が紫色に変色していて、なんとも奇妙な姿をしていた。
淳「(目下まで広がってる…目は見えないのか?)」
御館様「今日は集まってくれてありがとう。私の子供たちよ。‥さて、先ほど義勇の鎹鴉から**三ケ峰慎一**の子孫が発見されたと聞いたが、本当かい?」
淳「(三ケ峰…慎一?父の名前か?)」
聞いたことがあるようなないような…
富岡「おっしゃる通りでございます。」
(富岡に肩をぽんと叩かれる)
淳「み、三ケ峰淳です…!」
御館様「ここに来たことを光栄に思うよ,淳。」
心地のよい声…さっきまでの緊張が一気にほぐれた。
そして“御館様”は、僕の父の話をしてくれた。
御館様「君の父は立派な人だった。最期まで… 。上限の参を倒しに行ったきり、行方不明になってしまったがね……」
淳「…… !! 父さんも冨岡さんと同じように鬼を倒す人だったのですか?」
御館様「あぁ、慎一はいわゆる柱だったのだよ。」
淳「柱…?」
御館様「鬼殺隊トップクラスで実力を持つ者たちが集まる団体なんだ。慎一は特に強かったと聞くよ。」
「それは…あの剣士にも匹敵するくらい…と。」
淳「(そんなすごい団体に…父さんが?!!それに…“あの剣士”って誰のことだ?)」
御館様「君はその子孫だ。きっと実力も凄まじいものだろうね。」
「鬼殺隊になってみないか…?淳。」
「父の仇を討ち、鬼を滅ぼし、鬼のいない平和な世界へ___」
episode 2 complete
<登場人物 > (episode2)
三ケ峰 淳 ← 主人公
(三ケ峰 慎一) ← 主人公の父
柱達
御館様
・慎一は上限の参を倒しに行ったが戦死した
・慎一は歴代の柱の中でも上位であるくらい強かった