テラーノベル
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葛葉視点
毎日、連絡はしてた。
「おはよ」
「今日なにしてんの」
「ちゃんと飯食えよ」
文字越しなら、いくらでも言える。
でも。
(……やっぱ、会いてぇわ)
大学の用事が一段落して、
久々に時間ができた日。
駅前で待ってると、
人混みの向こうに、見慣れた赤い髪が見えた。
(……いた)
背、ちょっと伸びた?
顔つきも、前より大人っぽい。
「ローレン」
名前呼んだ瞬間、
ローレンが顔を上げる。
目が合って、
一拍遅れて、走ってくる。
「……くっさん……!」
息切れしながら立ち止まったと思ったら、
次の瞬間。
ぽろっと、涙が落ちた。
「え、ちょ」
慌てて声出す。
「なんで泣くんだよ」
ローレンは何も言わず、
制服の袖で目を擦る。
「……会えたら」
震えた声。
「平気だと思ってたのに……泣」
あー……最悪だ。
嬉しくさせたいだけだったのに。
人目も気にせず、
ローレンの頭を引き寄せる。
「ほら」
低く言う。
「俺、ここにいる」
細い肩が、ぎゅっと俺にしがみつく。
(……離れてる間、我慢してたんだな)
⸻
ローレン視点
毎日、連絡は来てた。
声も聞いてた。
写真も送ってもらってた。
だから、大丈夫だと思ってた。
……会うまでは。
「ローレン」
その声を聞いた瞬間、
胸の奥が一気に熱くなった。
顔を上げたら、
そこにいる。
銀髪で、少し雰囲気変わってて、
でも、間違いなく葛葉先輩。
(……本物だ)
走り寄った瞬間、
涙が勝手に落ちた。
「なんで泣くんだよ」
そう言われても、
自分でも分からない。
「……毎日」
声が震える。
「我慢してたんだって」
「今、分かった、……」
先輩の腕が、背中に回る。
「俺、ここにいる」
その一言で、
堰が切れたみたいに、涙が止まらなくなった。
「……寂しかった」
「……ごめん」
「でも」
顔を上げて言う。
「会えたから、いい……」
先輩の指が、
俺の頬の涙を拭う。
「ローレン」
「はい」
「泣くほど好きとか」
少し照れた声。
「反則なんだけど」
「……先輩が悪いよ、」
そう言うと、
先輩は小さく笑った。
「じゃあ」
額を軽くくっつけて。
「これからは、ちゃんと会お」
唇が、そっと触れる。
短くて、優しいキス。
「……約束、だよ」
「ああ」
駅前のざわめきの中。
二人だけ、時間が止まったみたいだった。
⸻
ベンチに並んで座る。
「泣きすぎ」
「先輩のせい」
「はいはい」
でも、手は離さない。
離れてても、繋がってた。
でも。
会えたら、全部報われる。
ローレンは、
先輩の肩にそっと寄りかかった。
「……これで、また頑張れる」
「俺も」
夕暮れの駅前。
再会は、確かに“始まり”だった。
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