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付き合うまでのお話。

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付き合うまでのお話。

5 - 被写体になってくれない?

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2023年05月06日

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旅館を出てすぐ、広々とした砂浜が見えた。季節的にはまだ海開きではないので、周りにはなにもないけれど、その景色は息を呑むほどだ。空は雲ひとつない青空で、旅行日和だ。


「すご…」

「ちょっとこのへん歩いてみる?」

「うん。お前も写真撮るだろ?」

「まぁ、せっかく来たしね」


俺はその水平線にピントを合わせ、シャッターをきった。さすが一眼レフ。よく撮れている。

何枚か写真を撮っていると、俺より少し離れて歩いていたあろまの姿が目に入る。その立ち姿がとても画になっていた。俺は思わず海を背景にあろまの写真を撮ってしまった。

撮った写真を見返してみると、少し笑っているように見える。いい顔してるなぁ…










「えおえお」


ふと名前を呼ばれて顔を上げると、遠くにいたはずのあろまが目の前にいた。


「うおっ」

「何驚いてんの。ニヤニヤしてどうした?」

「いや、なんでもな―」

「写真撮ったんだ、見せてよ」


俺の許可をとる前に、カメラを取られてしまった。さっき撮ったやつを見られてしまう…


「やっぱり画質最高だな…ん…?」


写真を次々と見ていく手が止まった。


「お前これ…」

「あー…それは…すまん。」

「俺じゃん」

「すごくいい景色だったからつい…」


別に狼狽えるほどのことでもないんだけど、怒られるとか、肖像権が、とか言われるかと思っていると


「なに、俺を撮りたいの?」

「うーん、まぁ…」

「何だよハッキリしねぇな」

「うん、じゃあ、被写体になってよ」


少し考える素振りを見せたあと、再びカメラの写真を凝視する。機嫌が悪いとかそういうのではなさそうで、さっきと同じ、少し笑ったような顔をして言った。


「お前の写真の腕、俺嫌いじゃないし。せっかく来たから何枚か撮らせてやってもいい」


そんな上から目線なセリフを吐いて、カメラを渡してきた。俺に背中を向けてまた砂浜を歩き出す。そんな珍しい反応に、俺は喜びが込み上げてくるのを感じた。

日常の風景を切り取ったような、飾らないこいつの姿を収めることができる。少し心臓がきゅっとなった。嬉しさが、楽しさが、俺の心を支配していく感覚がとても新鮮で。

でもその感情を表に出すことはない。気持ち悪いって言われるのは目に見えてるし、そういうの望んでないことだってわかってるから。


「なにしてんだよ、行くぞ」


もう小さくなってしまったあいつが俺を呼んでる。その後ろを小走りで追いかけた。


「待ってよ」

「早く行かないと夜になっちまうだろ」

「そんな焦らなくても大丈夫だって」

「お前がのんびりすぎるんだよ」

「そうかな」

「うん」










土産物店がある通りまで30分くらい歩くらしく、その間はお互いあまり喋らなかった。周りの景色を見たり、時折それぞれ写真を撮ったり。

した会話といえば、昼飯は何にする?とかそんなもんだった。海鮮が有名だから、そんな店を二人で探しながら、しばらく歩いていた。




To Be Continued…

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