荷物持ちは武器を背負う
ダンジョンの出口にて
やっと出れた。魔物は討伐してあるとはいえ長い階段と4人分の武器防具と遺体を背負いながら出るのはとても疲れた。足がパンパンだ。
とりあえず冒険者の受付に、。そう思って足が重くなる。
「どこから行くべきなのかな〜。遺族の家?それともギルド?こういう時って皆どうしてるんだろうな、。」
荷物持ちはそもそも「冒険者」扱いされなかった
冒険者登録は出来るが実績はされない扱いになっていたり同行者からは「荷物を持つだけでお金を貰えるだけありがたいと思え!」と罵倒されたりと言われるのが日常的でそれが普通だった。だが必要とされる職でもあり、受付でも冷遇される。その人が荷物持ちだと分かるとパーティーに入らないかと言う勧誘が後を絶たない。
そんな日常に絶望感を抱きそうになりながらも、お金が必要だからと私は勧誘を何度も受けた。罵倒も受けた。報酬を貰えなかった事だってある。ランクは上がらない。もう何もかもが嫌になって冒険者なんて辞めて何か別の職でも探そうかなと思っていた時に「白銀の剣」の人達に会った。もうコレで最後にしようと。そう思った
「荷物持ちなのか?俺たち「白銀の剣」のパーティーはよく深くまで潜るから荷物持ちが1人いてくれると助かるんだがどうだろうか」
よくある常套句だ。その後ダンジョンに入ってしばらくしたら手の平を返す癖に
「私じゃなくても他にいるので大丈夫なのでは?そこらじゅうに荷物持ちなんていますからね」
「君が良い」
「どうして?」
「君の評判は受付嬢達から聞いている。冷遇されながらもパーティーに文句を言ったり途中で逃走する事もなければ暴力を働いたりする事は無かったと」
あぁ。つまり無抵抗な人が欲しいのかな、。
「誤解しないで聞いて欲しいんだが、それはつまりトラブルを起こさない人であり、ちゃんと俺たちの荷物を管理してくれるって事なんだ。今までの人がまぁ。。悪かっただけだったというか」
魔法使いの女性は割って入るかのように
「つまりね?ちょっとでいいからいて欲しいの。出来そう?」とだけ言って私の目を見て話した。そして、。
色んな事を思い出していた
「……良いパーティー、。いや、良い人達だったな。お礼が出来ないのが残念だけど」
とりあえずギルドは肩身が狭いから遺族の家に向かうことにしよう。武器とか形見があるだけでもありがたいだろうし。
そして私はギルド「白銀の剣」の家族の家を調べて訪ねる事になった。
「え??」
バスタードソードを持っていたベルグの家は貴族邸だった。
「間違い、。じゃないんだよね?」
近くにレジーナの家もある。つまりベルグとレジーナは実は貴族だったのを調べて初めて分かった事だった。
門の前でどう入ろうか迷っていると
「何用かな?見たところ荷物持ちの様だが?」
少し老けてるおじさん?が門の中から声を掛けてきていた。
どうして門番が居ないんだろう?
「あの、ベルグさんの家はここで会っていますか?」
するとおじさんが少し険しい顔になって
「確かにベルグ様の屋敷はここでありますが。貴方とベルグ様との関係について聞いてよろしいでしょうか?」
なんて言おう。「コレ遺品です!」だなんて言って良いんだろうか。どう言葉にすれば良いんだろう。貴族相手に。
「もし?聴こえておりますかな?」
ハッとしてつい
「あっはい私はベルグさん達の冒険者パーティーの荷物持ちでした。その、。」
「ほう。それでベルグ様は今どちらに?」
言えない。言いたくない。分かっているよそんな事!遺族には言わないといけない事くらい!
「その…………」
門の向こう側のおじさんは察したのか分かりましたと言って中に入れてくれた。
私は初めて貴族の館に入ることになった
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!