テラーノベル
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夜に、亮が帰って来た。
「ただいま」
「お帰り」
手を洗う亮。
「亮、思い出した?」
「うん、まさか…女性だと思ってたから…ビックリした。」
「同級生?」
「うん。何があったんだろう?」と、舞を抱きしめる。
「若いのにね…原因は聞けなかったよ。」
「うん、後で同級生に聞いてみるよ。」
「うん。」
不安気な亮の背中を抱きしめられたまま撫でる舞
「いや〜さすがに、この歳で…同級生が…ショックだなぁ」
「だよね…」
舞は、亮に何かあったら!と考えると怖かった。
ぎゅーっと抱きしめた。
「舞〜!」
「亮〜!」
ぎゅーっと、ただ抱きしめる。
「大丈夫だよ。俺は…」
「うん…」
「お風呂、一緒に入ろう。」
「うん。」
いつものように、先に入って洗う亮。
しばらくして、舞も入る。
綺麗に髪を洗ってもらい、カラダを洗って、
湯船に浸かる。
亮が舞を前に座らせて縦に並んで入る。
ぎゅーっと後ろから抱きしめる亮
「亮?大丈夫?」
「うん、驚いただけ…」
「だよね」
いつもなら、胸を触ったりイタズラをするのに、
ただ、ぎゅーっと抱きしめられる。
「仲良かったの?」
「うん、部活は違ったけど、よく遊びに行ってた。」
「そうなんだ。」
舞は、前に回された亮の手をさすった。
亮は、舞にキスをした。
「チクショーこんな時でも舞を抱きたくなるよ」
舞は、後ろを向いて、黙って亮を抱きしめた。
お風呂から上がり、ご飯を温め直して
2人で食べる。
いつもより、口数も少なく黙って食べる。
思い出したように、「美味しいね」と亮。
無理しなくてもいいのに…
こんな時は、きっと味すら分からないだろう。
食べ終わって、そろそろ電話をしなくては…
坂野さんの奥様に電話をかけて、
太一さんが心残りだったお金を受け取りに行かなければならない。
お参りをさせていただこう。
次の休みの日に、舞と一緒に行く約束をした。
同級生に連絡をしてみる。
詳しいことは皆、分からないようだった。
不安そうな亮を舞は、ぎゅーっと抱きしめた。
亮も舞をしっかり抱きしめる。
そして、悲しそうな目をして、舞をじっと見る。
黙ったまま、そっと唇を重ねた。
「亮〜ツラいけど…寂しいけど、ちゃんとお別れしに行こうね。」
「うん」
「きっと、坂野さん待ってるよ。」
「うん、そうだな。」
土曜日、
奥様に教えていただいた住所を訪ねた。
「はーい」と坂野さんの奥様が玄関先へ
「お電話いただきました藤堂です。妻です。」と、舞も紹介される。
「あ、遠い所、申し訳ありませんでした。」
「いえ、この度は誠にご愁傷様でした。」
「恐れ入ります。どうぞ狭い所ですが…」
と、中へ案内される。
1歳ぐらいの男の子が寝ている。
お仏壇の前へ行き、お供えとして、お線香セットを供えさせていただく。
そして、2人お線香をあげさせていただく。
「ありがとうございます」と、奥様。
「主人、2年ほど前に病気が発覚しまして…」
「そうでしたか…」
「子どもが生まれるまでは…と頑張ってくれて、
この子ももうすぐ1歳半になりますので、最後まで頑張ったんですけどね…」
黙って、頷きながら聞く。
「学生時代の話も色々聞きました。
仲良くしてた友達が議員さんになったんだ!って、
藤堂さんのことを自分のことのように喜んでいました。
そして、そういえば…って、千円札の話をしてたんですが、まさか写真と一緒にしまってたなんて…
やはり、心残りだったんだろうと思いましたので、大変申し訳ないですが、お返しした方が主人も安心するかと思いまして…」
うんうん、と亮は、頷いている。
「いや〜正直お金を貸したことなんて忘れてたので、やっぱり律儀な奴だなぁ〜と驚きました。
普段は、一緒にバカなことをしてたんですけど、ホントに、そういうところは、真面目な奴でしたから…」
そういうと、やはり急にグッときたようで、
涙を流している。
「まさか…こんなことに…全然知らなくて、申し訳ありませんでした。」
「いえいえ、誰にもお知らせしてなかったんです。
主人が誰にも知らせないでくれ!というものですから…」
「そうですか…でも、また会いたかったです。」
「学生時代のこと、嬉しそうに話してたので、楽しかったんだと思います。だから、良い思い出のままで…」
余計に、涙が流れた。
「本当にありがとうございました。」
記念に撮った2人の写真を携帯カメラで撮らせてもらい、坂野さんが書いた『藤堂 亮に千円返す』の文字のメモと共に、千円札をお守り代わりにいただいた。
車まで行き…
「亮、頑張ったね」と、舞は亮を抱きしめた。
2人して泣いた…
家に着くまで、無言のまま、ずっと手を繋いでいた。
何か話そうとすると、お互いに涙が流れてしまうから…
真っ直ぐ家に帰り、舞は、お風呂を沸かした。
亮は、まだボーっとしたままソファーに腰掛けた。
亮の前に立ち、ぎゅーっと抱きしめた。
「赤ちゃん、パパを元気にしてあげて〜ヨシヨシしてあげて〜」
舞が亮の頭を撫でる。
ぎゅーっと抱きつく亮
しばらくして…
「あー儚いなぁ〜」とポツリ言う亮
「そうだね…坂野さんの分まで生きなきゃね。」
「そうだな、アイツが見れなかった景色をしっかり見ないとな…」
「うん、亮、坂野さんとの思い出、教えてよ。亡くなった人の話をして弔うのが良いんでしょう?」
「そうだな…舞も座って!」
「うん」隣りに座る
「高校に入学した時、同じクラスになって、席が隣り同士で、仲良くなって…坂野はバスケが上手くてバスケ部だったんだよ。」
「へーそうなんだ。」
「なんだか最初から気が合って、くだらないことして笑いあったりもした。成績は俺の方が良かったから、勉強は教えてやってた。帰りに買い食いしたりしてたから…」
「あ〜その時の千円なんだね。」
「きっと、そうだと思う。他に思いつかない…」
「俺がテニス部の部長になって、アイツもバスケ部の部長になって、お互い忙しくなって…その頃、クラスも変わって、進路も違ったから、あまり会わなくなったなあ。俺は、舞と付き合い出して、ラブラブだったし…ハハ」
「あ、あの時ね…可愛いかった舞ちゃん登場!」
「ふふ、そう!可愛い舞と付き合って、その後、俺は大学へ進んで、坂野は専門学校へ行った。だから2年早く就職して…更に音信不通になってしまってた。」
「そっかあー明るそうな人だったんだね。」
「うん、明るくて、いつも元気で…面白い奴だった。わりと見た目も良いから、モテてたし…」
「亮とどっちがモテてた?」
「それは…俺かなあ。ハハ」
「ふふ、そうなんだ。」
「舞と付き合ってるのは、知ってたから羨ましがってた。」
「え?そうなんだ!彼女はいなかったの?」
「うん、特定の人は、居なかったなぁ〜
奥さんのことも知らないから違う学校かなぁ?」
「そっかあ…」
「あんなに元気だったのになぁ〜」
「病気だったのなら、本人も悔しかっただろうね。」
「だろうな…小さい子どもと奥さんを置いて…
そう思うとホント堪らないよな…」
「うん…」
「また、会いたかったな〜」
「元気なうちに会えると良かったのにね。
もう病気が分かってからは、きっとツラくて、そんな姿を誰にも見せたくなかったんじゃないかなあ?
だから、誰にも言わなかったんだと思う。もし私がそうなら、弱っていく姿を見られたくないもの…」
「そうだよな…アイツらしい。」
「どこかで聞いてるよ。どうか安らかに…」
「もう…ゆっくり休めよ!またな!」
また、舞は亮をぎゅーっと抱きしめた。
泣くだけ泣いて…
「お風呂、入ろうか?」
「そうだな」2人でぼろぼろになった顔を洗わないと…
舞は、亮にキスをした。
亮からも舞にキスを…そして、お風呂へ
いつものように髪を洗ってもらい、カラダを洗う。
いつものように湯船に入って…
ぎゅーっと、後ろから抱きしめる腕は、いつもより
力が入っている。
「舞〜居なくならないでね。」
「うん、大丈夫だよ、ココに居るよ。」
長風呂は、ツライから2人で上がる。
カラダを拭いて、髪を乾かす。
どちらともなく、求め合う…
優しくキスをして…
お互いが抱きしめたくなった
そのままベッドへ
悲しそうな亮の頬を撫で、
癒やしながら、優しくキスをして、抱きしめる舞
舞の胸に顔を埋め、何を思っているのだろう?
悲しみから逃れるように…
突然スイッチが入り、
夢中で舞を愛する亮
何も言わず…
ただ夢中で舞を愛する…
少し激しく感じた舞は、
「亮〜」と声を掛けた。
「あ、ごめん…」と、また優しく愛する
そして、
絶頂を迎えた亮を抱きしめる。
満足したのか…
亮もそのまま、舞をぎゅーっと抱きしめる
「亮、赤ちゃんが…」
「あ、」お腹を撫でる
「ごめんな、赤ちゃん、大丈夫?」と、
話し掛けている。
お腹にキスをして撫でる
そしてまた、舞にキスをする
ジーっと亮を見つめる舞
何度もキスをする亮
『この人は、今、何を想い、求めているのだろう?』
何度も何度もキスをするから、笑ってしまった舞
「キスしすぎ〜」
「ふふ、何度でもする」
お昼から訪問したので、そろそろ夕方
「ご飯の用意をしないといけないのに…」
「まだいいよ」
そう言いながら、ずっと見つめて
何度もキスをする亮に、応える舞。
また、『キスするよ〜』というタイミングで、
舞は、亮の頬を撫で、唇を指でそっとなぞり、
最初は、優しくキスをする。
エロ〜い
優しく…エロく…
驚きながらも気持ち良くなり
また、激しくなる亮
「舞〜♡」
「ふふ、刺激的?」
「うん♡」
「あとで、一緒にご飯作ろうね」
「うん…」
そう言いながら、またキスをする。
『好きだなぁ〜キス』と、思う舞
しかし、今ので又スイッチが入り
止まらなくなった亮
『そうだった、この人は、《《タフ》》だった』
胸を優しく愛撫されると、感じてしまう
「舞、大丈夫?」
『大丈夫じゃないけど…』
「優しくね…」
と、応えてしまった…
また、新しいゴムに替えている
『嘘でしょう?また?さっきのは、なかったことになってる?すご〜い!と、感心している場合ではない…』
でも、浮気されるよりマシか…複雑…
愛されている証
コメント
2件
仲が良かった同級生が亡くなったのは悲しいよね😢