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第10章:紅の襲撃と覚醒の再会
空の封印を解いたゲズは、心に残る痛みを抱えたまま、セレナの待つ星・レファリエへ帰還する。
だが、すでにその星には――魔の手が迫っていた。
⸻
―レファリエ・癒しの神殿―
回復の光が満ちる静かな場所。
セレナはベッドに横たわりながら、星核の響きに耳を澄ませていた。
「……雷の鼓動が、遠くで震えてる……ゲズ……」
そのとき、空が裂ける音が響く。
現れたのは――ルシフェルの尖兵、精神の使徒ネメシス。
「見つけた、セレナ。君のような存在は邪魔なんだ」
術式を展開するネメシス。
セレナは防御を試みるも、回復途中の身体では限界がある。
神殿が崩れ始めた、その瞬間――
「触るなッ!!」
雷が降った。
空間が裂け、稲妻が神殿の床を貫いた。
ゲズが間一髪で駆けつけた。
⸻
―再会と反撃―
「……遅いよ、ゲズ……」
「悪かった。けど、もう誰にも触れさせない」
ゲズはネメシスに立ち向かい、再戦が始まる。
しかし、前回と違い、ゲズの雷には冷静さと怒りの狭間にある覚悟が宿っていた。
ネメシスは圧され始める。
「なぜ……? 前より強くなってる……」
「それは、俺がひとりじゃないって気づいたからだ。
セレナも、リオンも、俺の中に生きてる。だから――」
雷が爆ぜる。
“雷断・零閃”がネメシスを斬り裂き、彼は撤退する。
⸻
―静かな時間と影―
傷ついたセレナを支えながら、ゲズは静かに言う。
「俺、やっぱり……お前がいないとダメだ」
「……私も。もう、ずっと側にいるよ」
ふたりは、手を取り合う。
そのとき、星の空をよぎる“不穏な影”――
その姿を見て、ゲズの背筋に戦慄が走る。
「……なんだ、あの感覚……。
雷より、重い……」
その影は、“黒き鎧の騎士”。
ただ一度だけ、ゲズの視線を振り返ると――虚空に消えた。
セレナがぽつりとつぶやく。
「……あれ、もしかして……レル=ザイオス……?」
⸻
―ルシフェルの間・幻影の玉座―
ネメシスがルシフェルの前に跪く。
「失敗しました。だが、彼らの絆は……確かに歪ませられるはずです」
ルシフェルは微笑む。
「構わぬ。
レル=ザイオスはまもなく目覚める。
――心なき刃としてな」
その奥、氷の棺に眠る男――
かつて英雄と恐れられた、“レル=ザイオス”が静かに目を開けようとしていた。
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