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最初に変化に気づいたのは、特牛だった。
「……あれ? 角島さん……?」
彼の声が空に吸い込まれる。返事が、ない。
次の瞬間、彼の周囲の景色が、すっぽりと消えていた。
海はなく、空は逆さまに流れ、
ただ、灯火のように明滅する“誰かの記憶”が浮かんでいる。
「ここ……どこ……?」
ひとりぼっちの特牛の足元に、ぬるりと波が触れた。
それは水ではない――
思い出の“なりそこない”だった。
一方、観音埼・部埼・神子元島・角島の四人は、
巨大なガラスの廊下のような空間に立っていた。
足元は鏡。空は墨を流したような紫。
「特牛がいない……!」
観音埼の声が響く。だが、その声もどこか遠く。
「逆光が、僕たちを分断した……」
神子元島の視線が鋭くなる。
「“時間”が……それぞれの“痕”を暴き始めてるんだ。」
「……試されてる、ということだな。」
角島が、背の大剣に手を添える。歯を食いしばった。
「急がないと、誰かが呑まれてしまうぞ。」
そのときだった。部埼の足元から、何かが“溢れ出た”。