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「あ、俺仁ちゃんの家でおりまーす」
仕事帰りの車で後ろの席からマネージャーさんに声をかける。
「ここで言うなよ…車乗る前に伝えてあるっつーの……」
うんざりしたように仁ちゃんが言う。流石仁ちゃん、スマートやなぁなんて言ったら大きなため息をつかれた。
耳が赤くなっていてかわええなぁ…なんて思って、ついじんちゃんの顔を見つめてしまう。自分は抜けている所があるがこういう時はむしろラッキーだと思う。
「あー!嫌やわ、メンバーがイチャつく日がわかるの!」
空気に耐えられなかったのかだいちゃんが大きな声を出して頭をあげる。そのだいちゃんに目線を向けるはやちゃんは疲れたような顔をしていた。
「いっつも柔太朗の家で降りるお前が言うな」
「それはええやろ」
「何でだよ!俺からすると一緒!何見せられてんの俺は!」
じゃれ合うようなだいちゃんとはやちゃんを見て、今日は柔が先に帰っててよかったなんて思った。
嫉妬してる時の柔、静かに見てるけど目が怖いんよなぁ…。
「お邪魔しまーす」
「ん」
仁ちゃんは家に人を入れるのを嫌がるけど最近はもう俺がいることに慣れてきた。
最初は俺の家が多かったけど色々な理由で仁ちゃんの家で“する”事が多くなった。
もう遅い時間、お風呂にも入ってご飯も済ませて…待ちに待ったこの時間。リビングで仁ちゃんにキスをしていた。
「仁ちゃん……」
仁ちゃんの服に手をかける。
「ちょ、まて。明日の準備だけする」
仁ちゃんはハッとしたように俺から逃れていく。素早くアラームのセットや予定の確認、荷物の準備。
これが俺が仁ちゃんの家に来ることが増えた理由だ。
せっかくええムードやったのに〜なんてぼやきながら自分も机の上のゴミだけは片付けをする。
こうやってする前にいそいそと準備する仁ちゃんはいつものことだ。それを見ているとふっと笑いが漏れる。
「した後いつもぐったりで準備なんてできやんもんね」
「……誰のせいでそうなってんだよ」
恨めしげに俺を見てくるが準備のスピードは早い。
仁ちゃんも早くしたいんや、なんて思うと嬉しくてたまらなくなる。
前から仁ちゃんはこういうことに興味無さそうで、自分の時間も大切にしたいタイプだ。
結ばれた後もこうやって頻繁に誘うのは嫌がられないかと不安になる事もあったがそうでもなかった。むしろ遅いと少し寂しそうに求めるような視線を送ってくることもある。それが可愛くてたまにいじわるしてしまう事もあるが、やりすぎると嫌われてしまうので気をつけないといけない。
「終わった」
色々と考えを巡らせていたら仁ちゃんがなんでもないような顔で目の前に戻ってきた。
「ほんまに全部終わった?忘れ物ない?」
「ない」
「確認したん?」
「してないけど大丈夫」
「えー確認はし……」
待たされたお返しにふざけていたらキスで口を塞がれた。仁ちゃんの恨めしげな目が視界に入ってきて、しょうがないなぁなんて思いながら深く口付ける。
仁ちゃんの腕が俺の首に回る。普段素直じゃない仁ちゃんだけどこういう時の行動だけはとても素直だ。
それが凄くいやらしく感じてたまらない。誰も知らない、俺だけの仁ちゃんの姿。
どんなに抱いてもこの感情が増えていく。このままだと本当に爆発しちゃうんじゃないかと思う。
そしてたまに、仁ちゃんは俺から離れていくんじゃないかって心配になる。
だって仁ちゃんって可愛いしカッコイイし頭の回転も早いし…ライバルなんて星の数ほどいると思う。
だからこそ、仁ちゃんの体に自分を刻み込みたいと思う。俺から離れられなくなるように。
「仁ちゃん、大好きやで」
「…お前のそれ、もう死ぬほど聞いた」
押し倒されて顔を赤くしながらそっぽを向く仁ちゃんに愛おしさが込み上げる。本当に口だけは素直じゃないなぁ。
「ずっと俺の事、好きでいてな?俺、仁ちゃんがいなきゃ生きていけへん」
「言いすぎだろ…」
はあ、とため息をつかれてちょっとしゅんとする俺を睨むと、いきなりぐいと引き寄せられた。
「……つーか俺の事こんなにしといて、何言ってんだ。お前こそ責任取れ、アホ」
胸ぐらを掴んでそんな事を真っ直ぐに見て言われる。すぐ目の前に仁ちゃんの顔。その顔は真っ赤で、仁ちゃんなりの精一杯なんだとわかった。
何でそんなに可愛いん?仁ちゃんのこと、これ以上好きにさせるん?
そう思った瞬間には仁ちゃんを抱きしめていた。
「っ…!仁ちゃん!一生とる!今日はいっぱいいっぱいしような?」
「あー!言わなきゃ良かった……」
仁ちゃんはやってしまった、というな反応をする。呆れられててもいい。仁ちゃんが俺にそう応えてくれるだけで。
かわいいかわいい仁ちゃん、俺だけの。
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