衝撃の展開、第3話。
自分で書きながら驚いちゃった。(嘘)
⚠︎hbak要素があります、 地雷の方は自衛をお願いします。
「ーーー♪、、」
「……ぁ、ここなんですけど…、」
「…明那さん?」
「ん、ぇ、?」
あ、ヤバい、今意識飛んでた。
声を掛けられてやっと合った焦点が初めに捉えたのは、心配そうに覗き込む雲雀の顔だった。
雲雀に歌を教えてやってほしい、とふわっちに頼まれてから早数日。俺らは毎日のように放課後に残っては、空き教室でひたすら歌の練習をした。
以前から十分な程に上手だった雲雀の歌だが、この数日間でもっと良くなったということは俺も感じていた。きっと、俺の言ったことを真摯に受け止めることができる、彼の素直な性格故だろう。その事実は教える側である俺にとっても喜ばしいことだった。
しかし、三枝明那は腐っても生徒会広報。文化祭直前であるこの時期に、放課後の時間全てを後輩の指導に費やせるほど暇ではない。しかし受け持った手前、どちらも最後までこなしてやりたいと思うのが男のプライドってものだ。
広報の仕事の方は、授業の合間や昼休みなんかを利用して進めることでなんとか間に合わせている現状。それでも終わるはずがないので、今は睡眠すらまともに取っていない。元々嫌な夢ばかり見て眠れなかったところなので好都合ではある、のかな。
しかし人間そんなにタフには出来ていないらしい、最近は誰かと顔を合わせるたびに「どこか調子が悪いのか」と心配される始末だ。この間生徒会室に寄った際も叶さんに色々と問い詰められたが、変に心配されるとつい色々とゲロってしまいそうなので適当に流して逃げるようにその場から離れた。
人に心配されると反発したくなるタチなのだ。
「明那さん、やっぱ顔色悪いっすよ。」
「俺が指導なんて頼んだせいで……、」
「んーん!ひばのせいじゃないよ!!」
「俺が要領悪いから勝手に忙しくしてるだけだから、心配しないで、」
「でも…、」
「それより続き!さっき言ってたのってどこだっけ、?」
「………、」
ああ、全然納得してない顔だ。
この数日間一緒にいて分かったこと、渡会雲雀は感情が表に出やすい。面白いくらいに分かりやすくしょげたり喜んだりしている様子は、なんだか大きな犬みたいだな、なんて思ったりする。
だから今は、多分納得してない顔。不満そうで、ちょっと悲しそうな表情を見てるとこっちが居た堪れなくなるよ。
「ね、本当に平気だから、」
「……寝てください。」
「……え?」
「俺、膝枕でもなんでもやりますから!!とりあえず寝てください、!」
「ちょちょ、俺の話聞いてた!?」
「俺は全然大丈夫だし、ここで寝たら俺が来てる意味ないっていうか……、」
「…嫌なんですよ、明那さんのそんな顔見んの……、」
「俺は、明那さんの元気な顔が好きです。」
「それが俺のせいで損なわれてるなんて嫌なんです。」
「だからひばのせいじゃ……。」
「じゃあ俺からのお願いです、ほんの数時間ですけど、少しでも…、」
「……、」
「………はぁ、」
甘いなぁ、俺も。
「わかった、そこまで言われたら、ちょっとだけ寝させてもらおうかな…、」
「、!ほんとですか!!」
「あ、膝枕やります!?それとも…、」
「それは良いから、w」
こんな風に健気に慕ってくれる後輩は可愛いものだ。多分以前の俺ならそんなことは思わなかっただろう。生徒会に入る前の、ただ何もかもが嫌だったあの頃の俺なら。
でも今ならわかる、この大型犬は可愛い。
西に傾いた夕陽が弱く差し込む放課後の教 室。校庭から遠く聞こえる部活の声援や、ボールが弾く音。子守唄代わりの、雲雀の小さな小さな鼻歌。
それに耳を澄ませながら目を閉じると、不思議と、このまま眠りに落ちてしまえるような気がした。いつものような怖い夢はきっと現れない、そんな気がした。
『元気な顔が好き』か、そういえば誰かにもおんなじようなことを言われたな。
軽率に好きなんていうくせに、絶対に本気になってはくれない無責任な男に。
「俺はあきなの笑顔が好きだよ。」
「___ふわっち……、」
「……明那さん、」
声を掛けても、返事はない。恐らく眠ったらしい、小さな寝息を立てている。
大丈夫、などと言っていたが、机に突っ伏した途端に眠ってしまうほど疲れていたんじゃないか。
心の中を罪悪感で埋め尽くされる。やっぱり無理を言ってお願いしてしまった俺の責任だ。本当に申し訳ない。 明日からの練習は、不破さんに相談して予定を見直そう。これ以上は……、
ぽた、
ふと、水滴が落ちるような音が微かに耳に届く。
「、?……、」
落とした視線の先、
彼の目尻は、僅かに濡れていた。
猫のように丸くて大きな目は、今は閉じられていて。ケラケラと大きく開けて笑う口も、硬く結ばれている。小さな寝息も、そのまま。
人形のように表情ひとつ変えず、ただ静かに涙を溢すだけの彼の泣き方に、奇しくも俺は『綺麗』だと思った。
全くおかしいよな、人の泣き顔を見た時の第一声が、綺麗だなんて。
でも綺麗なんだ、どうしようもなく。
「明那さん、」
「俺、明那さんのことが好きです。」
返事は無い、無いほうがいい。
だっていつも彼の心の中にいるのは、俺ではないのだから。
to be continue…
コメント
11件
初めまして。凄い好きな展開で是非とも次回の展開を楽しみに、それはもう凄い楽しみにお待ちしております…何回も読んじゃってます… 三角関係予想外過ぎてこっから 凄い楽しみです✨✨ 素敵なお話ありがとうございます😭✨✨
らせんさんのふわぐさの文章全部読ませて頂いました。なかにはこのシリーズ大好きです!!明那とひばの気持ち考えると切ない....報われて欲しい😭 続きが気になります🥺🥺🥺
ひばぁ、そうか、明那の泣き顔キレイなんだな。想像はつくぞ☆( ^ω^ )机の上に落ちてる涙採集しとけよ。あとで目薬にするんだからな…。 どろどろにならないことを願いたい!まぁ、どろどろになっても好きなんですけど…。