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羽良野先生の心の中で、衝突しているみたいにぼくには思えてならない。


枝葉の影がおいでおいでしている。

ぼくは今では怖くはないし。

死んでいるのかわからない身体も治るかわからないし。きっと、そこは戻ってこれない場所だと思う。


空想を膨らませ。


明日には、ぼくと大原先生の死体が、山の中腹で発見されるだろうと頭の中でモヤが言った。



「着いたわ。歩君」


大雨が振り続ける薄暗い朝の6時頃に山の中腹に辿り着いた。

小鳥がいない。そのかわりに雨に濡れたカラスたちが悲壮に鳴いていた。


「村の人たちは、朝は滅多に家の外へ出てこないから。今は安心できるけれど、油断は大敵です」


羽良野先生はそういうと、車から途中でよったガソリンスタンドで買っておいた。大きなポリタンクを軽自動車から取り出した。

木くずや雑草だけの広間に、その周辺に点々としたあばら家が建てられた集落だった。広間の中央には、何かの大きな車が置かれている。

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