コメント
5件
めっちゃ神作ッッ✨✨ 続きってあります? かけたらでいいんですけど見たいです!!
吸血鬼×聖職者 (青桃) パロの連載です🪄🌟
もーしかしたら他のカプもあるかも🥺👉🏻👈🏻
第1話
この世には、人の血を食らう“吸血鬼”がいる。そして、その吸血鬼を狩る“聖職者”と呼ばれる職業は、生まれ持った異能力者のみ就くことができる職業である。
「いむ、今日も見回りいこっか」
空気の硬質化を試行錯誤中の後輩に声をかけると、水髪のアホ毛が反応し、白い衣服をなびかせながら振り返る。
「は〜い」
少し気だるげに返事をしたいむの背中に、喝を入れる様に叩く。
いむが何故乗り気では無いのか大体察しは着く。
いくら見回りに足を運ぼうと、吸血鬼と対面する確率なんて微小にも満たず、彼らの殺傷率は半端じゃないが、滅多に姿を現さない。そのため無能公務員だの何だの野次を飛ばされるのは日常茶飯事だった。
パチン、と指を鳴らすと、俺といむの手に剣が飛んでくる。いつもの手つきでキャッチして、塀の電子扉を開いた。
変わらず賑わう街中を歩いては横目で様子を伺う。やはり異常なんて見当たらなくて、聖職者なんて要らないんじゃないかと自らでも度々思う。
「誰か!!」
少し離れたところから子供の大声が耳を包む。何事かと駆け寄り、子供の前にしゃがみ込んだ。
「どうしたの?もう大丈夫だよ。何があったの?」
「お兄さん…ぼくの風船飛んでっちゃったの…」
彼が指を指す方向に視線をやると、赤い風船が大きな屋根をひとつ超える程にまで浮遊していた。
「いむ、いける?」
「まかせてっ」
風船の方に手を向け、思いっきり拳を握るいむ。風船はなにかに捕らえられた様に動きを止めた。
続いて俺も指を鳴らし、風船がゆっくりとこちらに向かって浮遊してくる。
風船の紐を掴み、いむにアイコンタクトを取って頷くと、いむはパッと拳を開いた。
「はい、あの水色のお兄ちゃんが風船取り返してくれたよ」
「えっ、僕!?」
「すごい!ふうせん帰ってきた!!ありがとう!」
「っ〜〜どういたしまして…!次は気をつけてね!」
少し照れくさそうに笑い、すぐさま視線を逸らしたいむに、可笑しくなって笑みを零す。
「おにいちゃん、どうやって風船帰してくれたの?」
「実はね、お兄ちゃんたちは魔法が使えるんだ、俺は物を操る力で、あのお兄ちゃんは空気をかためる力を持ってるの」
「すごい!!せい、しょくしゃ?ってやつだよね!」
「そうそう、ちっちゃいのに物知りだねぇ」
「勉強がんばってるんだ!おにいちゃんたちもがんばってね!」
「うん、ありがとね、じゃあまたね」
膝に手を置き立ち上がると、いむが行こ、と小さく呟いた。やっぱり相当恥ずかしがっているんだろう、こういう所は年下味があって可愛いと思う。
「ねぇ、なにここ」
かなり歩いて、いつもと違う裏道に入り、また歩いた先だった。
ドッシリと構える不穏な廃墟。察してしまうほどだった。ここには絶対、いる、と。
「入ってみよう」
ひとつ息を飲んで声を上げると、いむは首を力強く縦に振った。それを合図に、壊れたドアの隙間に身を通した。
「ひっろ…こっわ……」
「広いし、別行動の方がいいよね」
「ま、マジで言ってんの……!?」
「大マジ、駆除最優先だよ」
「うぅ…わかったよぉぉ……っ」
項垂れるいむに軽く拳を突き出し、それに気付いたいむがこちらの拳にグータッチを交わす。いつもの合図で別々の方向に駆け足で捌け、あたりを注意深く視認する。突然と襲ってくる気配は無さそうだが、既に逃げてしまったのかもしれず、かなり不安なところだ。
古びた扉を勢いよく開いては室内を見渡し、異常が無ければまた別の部屋へと向かう。
さすが廃墟、おぞましい量のホコリやら虫やらゴミやらで埋め尽くされている。
「ん…?」
遠くから微かに、何かの匂いが鼻を劈いた。この酸っぱい匂い、それなら大体1つしかない。
急ぎ足で匂いの元を辿り、廊下の一番奥にある部屋に駆け込んだ。駆け込んだ先に広がる光景は、20代の若造にとって、九死に一生を得ることになるだろう。
横たわる腐敗した肉塊から目を逸らし、恐る恐る剣を構えた。
「お前が…やったのか」
そう問いかけると、無駄に深い紺色の髪を靡かせる彼がこちらに振り返った。
「…やったら?」
「……そうでも、そうじゃなくても、お前を今ここで狩るよ」