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初コメ失礼致します~っ!!このさくひんほんとすきでぶっささんたんですけどもうつづきがとうこうされることってないですかね> <
続き凄く楽しみです!
こちらを伺うような返答をして来た彼目掛け、一直線に駆け込んで行く。一撃で仕留められるよう、能力も使える体勢で望む。
なるべく一撃で項から真っ二つにしてやりたいが、万が一のために剣の形を変形させ串刺しにでもしてやろう、というワケだ。
「は!?おい!どこ行った!?」
渾身の一振をカマすはずが、あの吸血鬼の姿は消えていた。あたりを見回し彼を探していると、突然上から重りのようなものが俺の体の上に落ちてきた。
「い゛っ…」
受け身も取れぬまま床に倒れ、急いで立ち上がろうにも、上の何かがその動きを止めた。
「…なぁ、それでも聖職者ってやつなん?」
「しかもあの肉塊、腐敗してんだから俺がやったかもわからんやろ」
よく喋る例の重りはこの吸血鬼で、舐め腐られた挙句説教まで食らっているらしい。
「さっき言ったろ…お前がやろうがやらまいが俺がお前を狩るって」
「って言ってイキった挙句これやろ?詰めが甘いわ、早く血ぃ吸われてコマになってな」
次第に首元に近づいてくる顔目掛け、ひとこと吐き捨てる。
「詰めが甘いのはどっちだよ、クソ野郎」
パチンッと指を鳴らした音が室内に響き渡る。それを合図に、廊下で見つけた少し中身が余る空き缶が、彼の頭を目掛け一直線でぶつかった。
飛び散る赤色のトマトジュースに表情を歪めながら、隙を着いて瞬時に立ち上がり、頭を抑えながらフラフラと立ち上がる彼の腹を蹴飛ばした。ここまでフラつくのも無理はない、頭を吹き飛ばすほどの速さで当てたつもりだったから。
「もういっぺん言ってみろよ、血ぃ吸われて何だって?」
「っその前なら言ってやるよ、詰めが甘いって」
彼がそう吐き捨てた途端、部屋の外から、物凄いスピードの鋭い赤黒い塊が顔目掛けて一直線に飛んできた。
「!?」
声を放つ暇もなく必死に剣でソレを断っていると、新たに断てぬ大きさの何かが飛んでくる。
「まろちゃん、コイツ吸ってええよな」
「俺のも残しとけよ」
「離せっ…!!」
視界には天井とサファイア色の深い瞳が映える顔。
こちらを冷めた目付きで見下ろしてくる白髪の青年。言動からして明らかに人間じゃない、仲間を呼んだんだ。
「なめとんの?3対1やで、人間サン」
「は……?」
この場にいるのは俺含め3人だけ。彼の発した言葉を理解しようと思考を巡らせると、とある考えに行き着いた。
「おまっ、卑怯だぞ!!」
「卑怯?何言ってんのコイツ」
また新たに耳を包む若く無駄にカッコイイ声。そちらに視線をやると赤髪を靡かせ、髪より1層赤黒く鋭い破片を手の上に浮遊させる青年がいた。やはり彼も只者じゃない、吸血鬼だろう。
「俺が吸血鬼になったとき、寄って集って殺したのはお前らだろ」
体が強ばるほどの声色を発する彼は、いつのまにか目の前にしゃがみこんでおり、例の物体を俺の顔の真横の床に突き刺していた。
「もういいよね、まろ。殺すよ?」
「生きてないと俺のコマにならんのやけど」
「そうやなぁ、まろちゃんが吸ってから殺すならええんやない?」
「じゃ、抑えとくから吸ってな〜」
体制を変え、一瞬で俺の背後に周り後ろからホールドしてきた彼。
見た目に合わずとんでもない力を持つ彼はビクともせず、前からは少し嬉しげな表情の青髪が迫ってきていた。
「気持ち悪、なんでそんなに嬉しそーなんだよ。ゲイ?」
「いいや?このクソ生意気な野郎を従わせると思うとゾクゾクすんねん」
「やっぱ変態じゃん、やれるんもんならやってみろよ」
彼を睨み上げ挑発するように口角を上げる。次第に、思い通りに怯えぬことに不満を持ったのか、不機嫌そうな表情に変わって行っていた。
「言い残すことは」
目の前に立つ、人類を脅かす野郎に見下ろされるなんて相当悔しいもので、言ったら負けの精神で強がってみる。
「…別に」
「そーかよ。心置きなく吸えてええわ」
彼がそう発した途端、シャツのボタンを全て無理矢理千切られ全開になる。次第に近づいてくる彼を前に抗うすべもなく、ただ瞼を強く閉じた。
「…っ」
次の瞬間、首筋に鋭い痛みが…なんてことはなく、俺をおさえつける2人の声が耳を包む。
「…え、吸わないの?」
「……まろちゃん?」
困惑しているような声に自らも少し疑問を浮かべ、恐る恐る瞼を開く。
「おい」
「うわっっっ!?!?!?!?」
開けた瞬間、視界いっぱいに広がる彼の顔に驚き大声をあげ首をのけぞった。
「お前、なんかしたか?指は2人が抑えとったろ。なんかが当たって吸えんのやけど」
「はぁ?何もして……」
何もしてない、そう言い切ろうとした刹那、脳裏に浮かぶいむの姿。
何かが当って、と言って指を指した首筋には何も無い。ならば答えはひとつ、いむが空気を硬化させたんだ。
「……どうかな、よく考えてみれば?」
「っお前いい加減に…!!」
「おい!りうら手離すな!」
意図せず開放された右手で、思いっきり指を鳴らした。
「ッマズ____ 」
物凄い爆音が耳を劈く。ゆっくりと瞼を開くと、俺は廃墟の外に居た。
「信じてたよ。いむ」
「ッほんっとにもう!間一髪だよ!!」
「天井ごと抜いて上の階の物とか全部落として潰そうとしたんでしょ!?」
「自分の命まで危険に晒さ」
「いむ、静かに」
叱ってくるいむを無理矢理静止させ、極限まで耳を研ぎ澄まし目を凝らす。
「…よく見て、アイツらが居るところだけ落ちてない」
「っこれ、撤退優先でしょ」
いむの言う通りだ。相当な重さを防ぐ力はあの3人にはない。青髪は言動からして何かを従わせる能力。赤髪は赤黒い結晶を操る能力。白髪は単純な身体能力と見た。今述べた通り、3人にそんな力は持ち合わせていない。そう、“3人には”。恐らく4人目が居て、ソイツは能力持ちの吸血鬼。パワー系か防御系か、それまた攻撃特化型かは不明だが、この2体4という圧倒的不利な状況は以ての外。
場所は覚えたんだ。1度撤退し本部を連れてくればいい話。
「っうわ!?!?な、ないちゃん!?」
「舌噛むよ、黙って」
そうと決まればいむを担ぎ、そこらにある大きな板の上に乗り、指を鳴らした。
とてつもないスピードで動く板を必死で掴み、いむを振り落とさぬよう、見た目の割には鍛えたフィジカルを発揮して見せた。