この作品はいかがでしたか?
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「大島君、やっと捕まえた」
心の中で大きくため息をついてから「何か?」と答える。
「渡したい書類とか少し聞きたいことがあるので、よかったらお昼を一緒にしながらどうですか?」
いつも思うが、この人は何を考えているのか理解に苦しむが、いわゆる俺を狙っているってヤツだろう、このやり方で何人にアプローチして何回成功したのか勝率を聞いてみたい。
そもそも、そういうかわいい“女”を使うにはもう難しいと思うし、むしろいい年して頭悪いとしか思われないのがわからないんだろうか?それとも、それでオチる男がいるならどういうタイプの男なのかマーケティングの一つとして統計を取りたい。
「仕事に関することなら今お願いします」
「えっ?あの、書類を持って来てなくて」
「それならメールに添付でもいいですか」
「それは、でも、直接話を」
引き際というのを知らないんだろうか?
佐藤さんの業務態度には思うところもある、さすがに一社員である今の俺に糾弾する術はないのだが。
「俺の昼休憩を無駄にしてまで必要な事ですか?」
「いえ、その」
まだ、食い下がるのなら真実を伝えるくらいならいいだろう。
「前から思っていたんですが、佐藤さんの仕事の仕方は効率が悪いと気付いてないんですか?もし気づいてないなら、今ハッキリと伝えます。何度も足を運んで頂いていたそうですが、メールで済ませてられるならメールで、メールで対応出来ないのであれはメールで確認をしてもらえれば時間の調整をします」
さすがに顔色が変わっていく、本社勤務になってから人事課の人間に頼んで俺の事を調べようとしていたようだった。
不愉快な人だ。
佐藤さんは「メールで送ります」と怒りを隠せない様で、顔を真っ赤に充血させて出て行った。
怒りたいのはこっちだ。
秘書課のメンバーに「よく言った」と賞賛されたが、だったらその都度に注意してやれよと心で呟いた。
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