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すみません……挿絵は次回に保留になります。
では本編どうぞ。
『うるせぇよ、犬』
〖ワレヲイヌヨバワリスルトハ⋯⋯!コゾウ、カクゴハデキテイルナ?〗
(我を犬呼ばわりするとは⋯⋯!小僧、覚悟は出来ているな?)
性格が変貌したラウロから侮辱を受けるとは思わなかったのか、灰狼は怒りを露わにする。
「う⋯⋯ラウ、ロ⋯⋯」
『あぁ”?まだ落ちてなかったのか。タフな女だな』
覇気に吹き飛ばされた2人は傷つきながらも、意識を保っていた。周辺に漂う魔力が濃いことから、アリサが障壁を貼ったと分かる。
『この犬が邪魔なんだろ?俺に用があるらしいし、役に立たないこのガキの身体借りて犬退治してやるよ』
「⋯⋯今はラウロじゃない誰かだと言うの?」
『細けぇことはまた俺が万全な状態になってからだ。今回は5分しかねぇからな』
と言うと、手元から黒剣が現れ、それを灰狼に向けた。
『行くぜ』
(灰狼の視点に変わります)
⋯⋯愚かなやつだ。この灰狼の王に挑むとは。
だが我がここへたどり着いた力は恐らく魔王からの恩恵。今すぐ始末しろというご命令だろう。
『──────ぉうらっ!!』
隙だらけの攻撃。このくらい我が避けられぬわけもない。今回も簡単に終わりそうだ。あのオーラには少々驚いたが、この程度なら
〖ッ?!〗
な、なに?!何だあの剣の威力は?雑に振り回しただけで周辺一帯の木々が吹き飛んだだと?
念のため小僧連れの人間共は結界を張ったが、あれだけでは守りきれぬかもしれん。
『はっ。魔物が人間を守るとはな』
〖フン、ワレハムダナセッショウハシナイタチデナ〗
(ふん、我は無駄な殺生はしないたちでな)
魔物の誇りとは、魔王の役に立てること。魔王の命令以外は実行しないのだ。
〖デハコチラカライクゾ!〗
よく分からんがやつは力が増しておらず、逆に減ってきている。このまま待っておれば自然と元の少年に戻るだろうが、我は待たん。
魔王の命令は必ずなしとげる。これは全灰狼の誓いだ。
我はやつに向かって雷を纏わせたブレスを放つ。
『ちっ』
ふん、器用に避けるものだ。だがこれはどうだ!
〖クラエ、《ライホウ(雷砲)》!〗
我がいちばん得意とする技、雷砲。ブレスと同じように発動するものだ。先程と違って、雷が落ちるスピードで飛ぶのだ。避けられまい。
『はっ、こんなもんで俺を倒せるとでも?!舐めんなよ駄犬がぁぁ!《魔刀気》っ!』
やつが放ったのは魔気を使った初級技。手を平行に横へ素早く払うことで、気を飛ばし敵を真っ二つにすることが出来る。
基礎の基礎であるため、威力はあまりないはずなのだが⋯⋯
〖グオオオ゙ッ⋯⋯?!〗
我の雷砲を軽々と撃ち砕き、咄嗟に創った結界を打ち破ろうとしているではないか。力が衰え続けているのにもかかわらず、なんて力だ。
しかも、なかなか斬撃が消えない。どれだけの魔力を注ぎ込んだのだ?
〖グ⋯⋯キ、キサマ⋯⋯!〗
『はっ、さっさとくたばれや⋯⋯』
その言葉通り、我はこの技に抗えず、愚かにもまともに食らってしまった。
〖クソ⋯⋯ワレ二キズヲオワストハ⋯⋯!〗
(くそ⋯⋯我に傷を負わすとは⋯⋯⋯!)
かなりの出血だが直ぐに自動回復で治るはずだ。
⋯⋯⋯
⋯⋯なに?
回復しないだと?
〖キサマ、ナニヲシタ?!〗
『あぁ?急に動きが止まったと思ったら、今更気づいたのか。……ま、簡単に言うと俺の攻撃は貫通するんだ、次からは避けた方がいいぜ……』
馬鹿な……そんな攻撃スキル、聞いたことがないぞ!
このままでは埒が明かなぬな。これ以上争えば後ろの2人もただではすまんだろう。
〖……イッタンヒクトシヨウ〗
『逃げる、ってのか……?!』
やつは強気だが、黒剣を杖のようにして身体を支えている以上、あの状態で戦うのは困難だろう。……時間制限切れのようだ。
〖ツギニソノチカラヲカイホウシタラサイゴダトオモエ〗
(次にその力を解放したら最後だと思え)
『クソ……待ち、やがれ……!』
─────ライ・アリサ視点─────
「灰狼が、引いた……?」
「っラウロ?!」
ライが叫んだ先には、力が収まり気を失っているラウロがいた。