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リンリンの家から帰ってくるとお互いに気を張って疲れていたのだろう、アヤカはソファーで、私はいつもの机に座るとそのまま眠ってしまったらしい。


私は雨が屋根を叩く音で起こされることになった。


顔をあげてしばらく、じっとそのまま動かずにいると雨の音がしっかりと耳に届いて来た。


「・・・結構強く降ってる」


窓に近づくと確かに雨は降っているのだけれど、それ以上に私の目に飛び込んできたモノがあった。


「・・・ほんと?これ」


目線の先に居たのはアヤカを見つけた時と勘違いしてしまうかのような光景だった。ローブに身を包んだ人物が1人、庭先に雨が降る中立っていたのである。


私は隣の部屋に向かうとアヤカの寝ているソファーを確認。そこにはキチンと寝ているアヤカがいる。


「じゃあ、あれはなんだ?」


もう一度私は部屋に戻ると窓を確認。そこには確かに居る。アヤカと似たような恰好をした人物が。けれど、アヤカは白いローブを着ていたのに対して、その人物は


「薄い紫色・・・」


淡く、透明で、どことなく白っぽく見えるが確かに紫色をしているローブ。もうここまで来たら仕方がない。私は窓を開けると声をかけた。


「どうぞ・・・えっと・・・あなたの名前は?」


するとその人物は被っていたフードをとった。見せてくれたのは美しい顔をしている。見た目からするとおおよそアヤカと年齢は近いと思われる。


「初めまして、美香さん。えーっと・・・そうですね。私には名前がありませんが・・・」


というとしばらく考え、それから私に目を向けた。


「今月は10月。美香さんにとって〝何かを運んでくる〟のは鳥の役目。であれば私は鶇(ツグミ)と名乗りましょう」


「それは・・その、鳥の名前?」


「はい、スズメくらいの大きさで渡り鳥ですね」


彼はすこし頭を下げると近寄り、そして私の部屋に入ることになった。


「少しまってて」


と声をかけるとそのまま私はタオルを取りに行くことに。そして彼に渡すと丁寧にローブを拭き、部屋に入ってきた。


「すみません。雨が降っていない時に来ればよかったのですけどね。どうもそうはさせてくれないみたいで」


「・・・お茶を飲みます?煙草は?」


と聞くと彼は「はい、頂きます」と言ったので私はキッチンに向かうと冷蔵庫から冷えたお茶を取り出し、コップに注いで持って行った。


「ありがとうございます」


一口、お茶に口を付けるとツグミは部屋を見渡していく。


「相変わらず凄い量の本ですね」


彼はローブの中から使い古されたカバン。いつも家に来る運び屋さんが持っているのと同じような型のモノを出すと、自分の体から外し、机の上に置いた。


留め金を外し、中から有るモノを取り出した。

それは白く、何も描かれない紙。まっさらな状態のモノだった。


「それは?」


「これについて語るその前に、アヤカについて聞いておきたいことがありまして」


というと彼はアヤカの寝ている方を指さした。


「アヤカ・・・ですか」


「はい」


また一口、お茶を飲むと今度は私に目を向けた。


「アヤカは、ツバサを求め、そしてあなた、美香さんの元へやってきた。・・・まあ、やってきたというよりも出会ったという方が正しいかもしれませんが」


「そうですね、出会いました」


「そして、その必要なモノの2つのうち1つは出来た分けになります」


「・・・はい、描いたのは私では無いですけれど」


少しだけツグミの口角が上がる。


「それはさして問題ではないです。重要なのはそれを用意する事が出来たということ。現にその描いて貰った絵には美香さんのペンが入っているのですから」


「まあ・・・それは・・・」


そう言いかけるとツグミはまた少し口角をあげた。


「私がここに来たのは、もちろんこの紙を渡しに。そしてこの紙がアヤカにとってツバサとなりえるためのもう1つのモノになります」


私はその言葉と一緒にツグミを見つめた。

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