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ウェンダ「あら、みんなツリーさんのところに集まってどうしたのかしら?」
ナイフを指先で回しながら、だんだんと歩いて二人に近寄ってくる。
ウェンダ「まあいいわ。探す手間が省けた」
ウェンダ(ジェヴィンさんにタナーさん)
ウェンダ(いくら私が強くたって、この二人相手じゃ流石に勝てない)
ウェンダ「どうしようかなぁ…」
その瞬間、ジェヴィンがウェンダに斧を振り上げ、切り掛かる。
ウェンダ「うわっ!」
ギリギリのところで避け、後ろの方に後ずさったが、膝を掠って流血している。
ウェンダ「ちょっと、ジェヴィンさん。流石に不意打ちは酷いわよ」
ジェヴィン「そうでもしなきゃ、貴方は他の方を傷つけてしまうでしょう」
タナー「…ごめんなウェンダ」
するとまたジェヴィンが斧を構えて、ウェンダの元へ走る。タナーは銃でその援護に回る。
ウェンダ「引っかかったわね」
ジェヴィン「………あっ」
ジェヴィンとタナーは二人同時に、木と木同士に結びつけてあったロープに引っかかり倒れた。
随分初歩的な罠だが、必死になっていると案外そんな罠には気付きにくいのだ。
ジェヴィン(まずい…!ピンキーさん達を守れる人は私とタナーさんだけ…!)
ジェヴィン「逃げてください!皆さん!」
ジェヴィンが大声で叫んだ後、二人はすぐに立ち上がり、ウェンダを追いかけた。
ウェンダ「足は私のほうが速いわ」
ウェンダ「じゃあまずはピンキーちゃんから…」
ウェンダが走り始めた途端、ピンキーの首は白い手が締め付けていた。
ピンキー「あぁ…がっ、」
ピンキー「ウェンダ…なん、でっ、」
ウェンダ「ふふ、相変わらず可愛い顔してるわね」
ウェンダ「そりゃあんなにハイスペックな恋人もいるわけよ」
ウェンダがピンキーの顎に手をかけた。
ピンキー「え?」
次の瞬間、ピンキーの顔に激痛が走った。
ピンキー「…?!?!?!?!」
言葉にできないような叫び声をあげ、ピンキーの顔は一瞬で、目玉や口の中が剥き出しになり、ほとんどの歯が折れた惨たらしい姿になっていた。
ウェンダ「あらピンキー。自慢の顔がそんなになっちゃって。可哀想に」
ピンキー「あぁ、ぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」
ピンキーは頭を抱えながら、その場で膝から崩れ落ちた。
タナー「やっと追いついた…!」
ジェヴィン「ウェンダさん。今度こそ…!」
ジェヴィン「殺さなくとも、せめて意識を…!」
ウェンダ「あ。やっぱり追いつくのが速いわね」
ウェンダ「でも嫌よ。私はまだ無傷の他の人たちを探しに行ってくるわ」
タナー「…!ちょっと待」
ウェンダ「無理〜♪」
すぐにウェンダは反対方向へ走り去ってしまった。
タナー「クソッ!今助けに」
ジェヴィン「行かなくていい!」
タナー「…?!」
タナー「どうしてだよジェヴィン!あっちにはブラッドやグレーが…」
その時、タナーはジェヴィンがずっと、必要以上に息を吸ったり吐いたりしていたのを思い出した。
ジェヴィン「ウェンダさんは…、ピンキーさんを殺さずに、すぐ別の人を探しに行きました」
ジェヴィン「つまり、目的は別に皆を殺すこと、じゃない」
ジェヴィン「もうすでに、頭を食べられてしまったブラッドさんは、襲わない」
ジェヴィン「グレーさんは、隠れていれば、見つかることはない」
ジェヴィン「ファンボットさんと、ファンコンピューターさんは、機械なので襲う必要がない、んです…」
タナー「…ジェヴィン、そこまで考えて…」
ジェヴィン「………それに私、昨日言いましたよね」
ジェヴィン「約束しましたよね」
ジェヴィン「自分を大切にしろって」
ジェヴィン「人のために、自分を犠牲にする必要なんてないんです」
ジェヴィン「貴方は保安官で、人を守ることが仕事で義務。やらなければいけないのはわかっています」
ジェヴィン「でも、私は貴方がいないと…っ」
汗だくで過呼吸になりながら、ジェヴィンは息をふっと吐いた。
ピンキーの顔に包帯を巻き終わった後、ジェヴィンは言った。
ジェヴィン「私は………貴方がいないと生きていけないんです」
その言葉を聞いた瞬間、タナーは喉を鳴らし、胸の痛みが襲ってくる。
胸の辺りを押さえながら呼吸を整えた後、タナーは言った。
タナー「…大丈夫。ずっと一緒にいよう」
タナー「二人一緒ならこんな世界、元通りにできる」
タナー「戻ったら、また一緒に…」
ジェヴィン「………はい」
気づけば、二人とも抱き合って、涙を流していた。
ジェヴィン「……必ず、生きて帰ってくださいね」
タナー「…もちろんだよ」
ジェヴィン「……ピンキーさんが、近くにいるの忘れてました」
タナー「あっ」
タナー「…俺らのこと見てた?」
ピンキー「いや、私あんまり目見えてないから」
タナー「そっかぁ………」
ジェヴィン「…」
二人はピンキーを連れて、ツリーの元に向かった。
案の定、ツリーの近くの茂みには、グレーが震えながらうずくまっていた。
ジェヴィン「…ピンキーさん」
ジェヴィン「辛いのはわかっています」
ジェヴィン「ここで、グレーさん達と一緒に私達が戻るのを待っていてください。」
ピンキー「わかったわ…」
三人は落ち着いた様子で、一度深呼吸をした。
ジェヴィン「…では、行きましょう。タナーさん」
タナー「……あぁ!」
帽子の端をクイッと持ち上げて、二人はウェンダの元へ走り去った。
それを見送ったピンキーとグレー。
グレー「…なんで、こんなことになっちゃったんだろう」
珍しく、グレーの方から口を開いた。
ピンキー「わからないわよ、私には」
ピンキー「ジェヴィンさんは知っているようだったけど」
ピンキーはグレーから目を背ける。そして目を向けた先には…
ピンキー「オレン………」
酷い様子で木にもたれかかっているオレンを見て、ピンキーは涙を流した。
そして、その亡骸に抱きついた。
ピンキー「オレン……どうして……オレン……!」
えずきながら涙を流し続けるピンキーの背中を、グレーはゆっくりとさすってやった。
その後ろから、ブラッドがひょこっと顔を出した。
「ふたりともー」
ご報告
次回が本編終了となります。が!
本当の終わりはその後になります。
筆者の語彙力がクソですみません。
まあ簡単に説明しますと。
ノーマルエンド
バッドエンド
ハッピーエンド
の三つに分かれるって思って貰えばいいです。
順番は上記の通りです。
今回は2000文字くらいで短かったですが、満足していただけると幸いです。