テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
____仁人side____
正直に言うと、勇斗は距離が近い。
物理的にも、精神的にも。
楽屋のソファに座った瞬間、隣に来ることは分かってた。
…ほら、案の定、笑
「近い」
一応言ってみる。
言わないと、勇斗は本当に距離を詰め続けるから。
『そう?』
とぼけた声。
分かっててやってんな
とうとう肩が触れた。
いや、触れてるというより、寄せてきてる。
…離れればいいのに。
そう思うのに、立ち上がらない自分がいる。
勇斗は独占欲が強い。
本人は軽く笑ってるけど、目が全然笑ってないときがある。
特に、俺が他の人と話してるとき
スタッフと話して戻ったとき、勇斗がこっちを見てた。
「どこ見てんの?笑」
『仁人』
ほら、こうやってストレートに言う。
「…意味分かんない」
対して俺は勇斗みたいに言葉にできないから誤魔化すしかなかった。
それに、本当のこと言ったら多分、もっと近づいてくる。
それが嫌なわけじゃないのが、問題なんだけど。
車内でも、席は自由なのに、俺は迷わず勇斗の隣に座った。
無意識だった。
でも、気づいた瞬間少し後悔する。
「狭い」
一応言ってみる。
『そう?』
絶対分かってるくせに。
肩が触れるたびに、心臓がうるさい。
『俺の隣、嫌?』
その問い方がずるい。
わかってるくせに。
「嫌だったら座らないでしょ」
なんて、即答してから、しまったと思った。
勇斗が一瞬、嬉しそうに笑ったのを俺は見逃さなかった。
だから、つい。
……本当につい。
勇斗の肩に、頭を預けてしまった。
一瞬だけ。
本当に一瞬。
でもその間、勇斗が一切動かなかったのを、俺はちゃんと分かってた。
車が止まって、何事もなかったふりで体を起こす。
でも、勇斗の声が追いかけてくる。
「無意識で来るの、俺だけにしろよ?」
胸がきゅっとする。
独占欲が強いことはもちろん分かってる。
でも…
その独占が、俺だけに向いてるって分かってるから、拒めない。
「…独占欲強、、笑」
そう言うしかなかった。
『今さら?笑』
笑う勇斗。
本当に、めんどくさい。
「…ほんと、仕方ない」
そう言いながら、俺は勇斗の袖を軽く引いた。
無意識じゃない。
これは、完全に俺の意思だ。
___離れないでほしい。
言葉にしない代わりに、態度で伝えただけ。
勇斗はきっと気づいてる。
気づいてるのに、何も言わないところがずるい。
でも、その距離が今は一番安心できた。