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#ギャップ
ひより
1,627
鷹槻れん@コノカレコミカライズ

51,258
百はな🍑
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48
「公爵閣下! 前方より、マレフィカ侯爵家の軍勢を確認! 急速に接近中!」
ベルシュタイン騎士団に、緊張が走った。 地平線を埋め尽くす黒い軍旗。隊列に、微塵の乱れもない。――これまでの敵とは、格が違う。
黒の軍馬に跨ったアレクは、大剣の柄を握り直した。剣先に、赤黒い魔力が灯る。
「領地の中心部には、一歩たりとも入れるな」
「はっ!!」
騎士たちが一斉に抜剣する。
ガギィィンッ!!
剣と槍がぶつかり、凄まじい金属音が戦場に炸裂した。だが、押し込まれたのはベルシュタイン側だった。
「ぐっ……!?」
「防陣を維持しろ! 下がるな!」
騎士の盾に、黒い火花が散る。マレフィカ軍の槍には、禍々しい紋様が刻まれていた。刃にまとわりつくような、暗い魔力がうねる。
「禁忌魔法か……!? 武器そのものを強化している!」
誰かが叫んだ。異様な力を帯びた槍が、盾ごと騎士たちを押し返してくる。百戦錬磨のベルシュタイン騎士団が、見る間に防戦へ追い込まれていった。
「くそ……これが王妃派の精鋭か……!」
その時だった。
「――下がっていろ」
一騎の黒い嵐が、味方の防陣を割って最前線へ飛び出した。
『フン、ベルシュタイン公爵か! ここで叩き伏せてくれる!』
先頭に立つ重装騎士が、あざ笑った。見上げるほどの巨体が、大槍を振り下ろす。だが、アレクは避けない。
敵を見据えたまま、大剣で真っ向から迎え撃った。
バキィィンッ!!
雷のような火花が、二人の間で弾ける。激突した剣と槍。しかし、それは拮抗するまでもなかった。
「失せろ」
バキ、ボキィッ!!
頑強な槍が、根元からへし折れた。
『な……っ!? 強化したはずなのに……!?』
破片が、地面にばらばらと落ちる。
「まだ向かってくるなら、相手になる」
その一言に、周囲の敵兵たちが息を呑んだ。それでも、後方から総指揮官の怒号が飛ぶ。
『怯むな! 数はこちらが上だ! 囲め!』
左右から兵が扇状に広がり、アレクを包囲しようとする。その時だった。
――角笛の音が、戦場を貫いた。丘の上に、白銀の百合の旗が翻る。
「アレク様――っ! 遅くなりましたわ!」
凛とした声が響き渡る。白馬に跨り、眩い白銀の細剣を掲げる令嬢。リリアンヌ・エルベルト。その背後には、エルベルト公爵軍と、王都の若手貴族連合の旗が連なっていた。
「エルベルト公爵家、これより参戦いたしますわ!」
「リリアンヌ様、前へ出すぎです。陣形が乱れます」
並走する副団長――今はリリアンヌの剣術教師でもある男が、淡々と窘める。
「まあ! 戦場でまでお説教ですの!?」
「戦場だからです」
「もうっ、あとで思いきり褒めていただきますからね!」
「まずは生きて帰ってからにしてください」
緊迫した戦場に似つかわしくない、息の合った掛け合い。その声に、押され気味だったベルシュタイン騎士たちの空気が、わずかに緩んだ。
コメント
1件
戦場の重い空気と、リリアンヌ様たちの軽快な掛け合いのギャップがもう最高でした…!アレク様の一撃で武器をへし折るシーン、めちゃくちゃかっこよかったです。でも「あとで褒めていただきますからね!」「まずは生きて帰ってから」のやりとりにほっこり。緊張が一瞬和らいで、次の展開がもっと気になりました◎