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第34話 便利さの向かう先

ジェイドの影空間から見た、土砂崩れ現場の前にいる人々の中の一人に、理世は覚えがある気がした。

そこに、ラファーガの姿が入ってくる。

「兄さん」

「ラファーガ!」

二人の一言で「覚えのある感覚」の正体を、理世は理解した。

(ラファーガさんに似てたのか! でも並ぶとそうでもない……?)

というのも、ラファーガは冷静で丁寧な振舞いをしていても、時折ヤンチャっぽさというか、気の強さを感じることがあるのに対し。

共に並んだ男性は、顔の造詣そのものは似ているが、どこか気弱そうに見える。

二人が並ぶことで、性格の違いが顕著に見えるのだった。

兄弟が少し会話を交わした後、ラファーガの視線がジェイドに向く。

「殿下、こちらはこの辺りを領地としている私の兄です」

「お初にお目にかかります。私はビエント・アファブレ・グロリアス・リケサレガロと申します」

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