短編集

… 時間はいっぱいある 、と言われたけど 。

彼がいつ危ない行動に出るか分からない 。

…… ミカさん ？

ミカ）あら ！！ 昨日ぶりね 、どうしたのかしら ？

彼に 、早く気付いて欲しいんです 。

でも … どうすればいいか分からなくて 。

ミカ）ん ー … そうねぇ 、2人しか知らないことをさり気なく伝えるのはどう ？

2人しか 、知らない … あ 、

ミカ）心当たりがありそうね 。力になれたみたいで良かったわ 。

ありがとうございます … また 、助けてください 。

ミカ）ええ 、もちろんよ 〜 ！！

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成瀬）お ー い 、らる ー 。

雨宮）にゃ 。

成瀬）ご飯はここ 。トイレはここ 。寝るとこはここ 。OK ？

雨宮）にゃぁにゃ 。

成瀬）物分り良いな 。偉いぞ 。

そう言って 、私の頭を撫でる彼 。

… これは 、距離の進展ではなかろうか 。

向こうからキスされるまでは 、遠くない 。

成瀬）は ー いご飯だぞ ～ 。

雨宮）にゃ …

キャットフード 。

私はこれを食べなければいけないらしい 。

なら一生水でいいです …

成瀬）… 要らないの ？

そう 、優しい声で言われてしまって 。

要らないなんて返事できなくて 。

食べますかぁ ……

雨宮）!

成瀬）美味い ？

猫の味覚になってるから 、普通に美味しく食べられる 。

… もう 、吐き戻さずに食べられるんだ 。

雨宮）にゃ !

成瀬）そっか 、よかった 。

美味しすぎる … やば 、ソウルフードなんだけど 。

成瀬）… 俺の好きな人はね 、ご飯食べられなくなっちゃったんだ 。

… 私の話だ 。

成瀬）食べられてた時は 、俺の作ったご飯美味しい美味しいっていっぱい食べてくれてさ 。

本当に美味しかったなぁ 。

また 、食べたいな 。

成瀬）… どことなく似てんだよなぁ 、

！！！！！

気付く ？！

気付いて ？！

雨宮）にゃ !! みゃぁぉ !!!

成瀬）どした 、元気だね 。

だめだった 。

彼の手を舐める 。

成瀬）… 猫の舌ってざらざらしてんのな 。初めて知ったわ 。

顎を撫でられる 。

雨宮）ｺﾞﾛｺﾞﾛｺﾞﾛ 、

成瀬）気持ちいか 。

雨宮）みゃぁ 、

きもち … じゃなくて 、

落ち着け ？

成瀬）… 何で 、雫だったんだろう 。

… 何でだろうね 。

成瀬）俺で 、良かったのに 。

また 、そういうこと言って 。

本当に放っておけないんだから 。

成瀬）いだっ 、… パンチすんなよ 、

雨宮）にゃ 。

成瀬）らるお前 、俺のこと好きすぎだろ …

当たり前でしょ 。

中身は雫なんだから 。

雨宮）にゃ ぁ 。

成瀬）… 雫はさ 、らると似てんだよね 。だから 、代わりにしようとしてる … のかも 。それでも 、良い ？

雨宮）みゃ 。

成瀬）…… こんなこと言ったって 、分かってないのにな 。ごめんな 。

分かってるよ 。

だから 、謝らないで 。

成瀬）俺が無茶しようとしたら 、すぐ気付いて 。

なるせは 、嘘つくの下手なんだもん 。

成瀬）… 俺は 、気付けてたかな 、ぁっ

顔を手で覆って 、涙を隠す彼 。

悪い癖だよ 、それ 。

手で覆っていても 、涙は零れていて 。

彼の好きなお菓子や甘いものを家中から探して 、彼のそばに置く 。

雨宮）にゃ 、にゃ 。

彼の膝元に手を置く 。

すると 、顔を見せてくれて 。

成瀬）っうﾞ 、… ぉ 、かし … ？

そうだよ 。

貴方の好きな物 、たくさん 。

成瀬）ぉれのすきなの 、ばっかじゃん …

気付いてよ 。

成瀬）っはは 、笑 ありがとう 。

雨宮）！

久々に 、見られた 。

笑ってくれた 。

雨宮）にゃ 、にゃにゃ !!

成瀬）俺の好きなお菓子よくわかったね 。やっぱ似てるわ 。

なんでそこまでいって気付かないかな ？？

… まあいっか 、

成瀬）… やっと決心ついた 。明日は遺品整理するわ 。

遺書代わりの日記が 、見つかる頃らしい 。

雨宮）みゃぁ 。

成瀬）寝るか … って言いたいとこだけど 、風呂入るよ 。

… ん ？

猫ってお風呂 、苦手では ？

拒否権も無く連れて来られたお風呂場 。

彼は濡れてもいい服に着替えていた 。

成瀬）は ～ い 、暴れんなよ ー ？

ぬるめのシャワーの水が優しくかけられる 。

やだ 、なんかやだ 。

でも 、手で抱き抱えられているから逃げられない 。

雨宮）にゃ 、にゃ … !!!

成瀬）逃げようとしても無駄で ー す 。

な … んか 、きもちわるい 、

ミカさん … たすけて …

ミカ）ん ？ それは … ちょっと助けられないかも 〜 … ごめん っ ！

てへ って言ってる顔が容易に想像できた 。

困ったら助けてって言ったのに ～ ！！！！！

成瀬）うい 、終わり 。シャンプーは好きなんだ 。

雨宮）にゃ …

一生お風呂入んなくて大丈夫です 。

そう思いました 。

成瀬）俺もシャワー浴びよ 、

そう言って 、服をぽいぽい脱ぎ捨ててシャワーを浴び始める彼 。

雨宮）んﾞにゃ… ?!

ちょ 、

まずい 、

見る訳にはいかない 。

ここを出なければ 。

でも 、浴室と洗面所を隔てるドアは閉まったまま 。

一生後ろ向いときますね 。

成瀬）っし 、終わり ー 。

私を持ち上げて浴室から出る彼 。

成瀬）乾かすぞ ー 。

タオルとドライヤーを使って素早く乾かしてくれた彼 。

色々調べてくれたみたい 。

… ドライヤーが終わった 。

成瀬）… ほら 、寝るよ 。

私をケージに入れて 、

家の電気を消して 、

彼は自分の部屋へ行ってしまった 。

… ケージ 、鍵かけてないよ 。

彼の部屋の前に行く 。

しばらくうろうろしていると 、

成瀬）ぅ … っ、

また 、泣き声が 。

私のこと好きすぎるのはそっちもでしょ 。

私のこと忘れて幸せになって欲しい 、って思ってた 。

でも 、私もこれほどまでに彼に執着していて 。

私も 、彼を諦めて幸せになるなんて無理なんだなって 。

改めて実感した 。

雨宮）みゃぁお 。

成瀬）っ らる …

ドア越しの会話 。

成瀬）寝なきゃだめでしょ 、もう 。

雨宮）にゃぁ 。

貴方が安心して眠るところを見るまで 、眠れないよ 。

成瀬）… お前はいつも 、気付いてくれんのな 。

ドアが開く 。

成瀬）… 夜になると 、気分落ちて … いつも手を握ってた人が居ないからさ 。

ずっと 、

ずっとずっと私ばっかり 。

全部全部 、私 。

成瀬）怖かった 。どんどん冷たくなってくんだよ 、… 想像できる ？

出来るよ 。

痛いし 、

寒いし 、

怖い 。

でも 、貴方の体温があった 。

成瀬）俺も 、日に日に耐えられなくなってってさ 。明日の朝起きたら全部夢だったりしないかな ー って思ってんの … んな訳ないのにね 。

雨宮）にゃ 、

夢だったことにはならなくても 、

また 、会えるかもしれないよ 。

成瀬）あ゛ー 、ごめん 。こんなこと話して 。

雨宮）にゃぁ 。

貴方の涙が流れなくなる日まで 、そばに居させて 。

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