こんにちは〜一ノ瀬。です。本当に司くんばっかり可哀想です。多分これからもです。本当にごめんなさい。
次の日。僕は寧々と病院へ向かった。司くんは重症だったようだが、意識を取り戻しているらしい。さすが体力おばけだけあるね。僕が病室のドアを開けると、司くんは笑顔で迎えてくれた。体はどうやら痺れて動かせないようだけど。この病室は、2人部屋なのか、少し広い。その内1人はもう退院してるらしいから実質貸切だ。
「おお、類、寧々!元気そうでよかった!」
「アンタ、そのセリフこっちのセリフなんだけど…?」
司くんは包帯を巻いているところ以外いつもの司くんだった。でも、その痛々しい姿に罪悪感をもたないわけにはいかなかった。
「それにしても類、昨日はありがとうな!類がいなきゃ今頃オレは…「守れなくてすまない。」……類?」
しまった。つい口に出してしまった。言ってしまうと口は止まってくれないらしい。
「僕が君を1人にさせてなければ、こんな目に遭わずにすんだのに。これは僕の責任だ。本当にごめん。」
しばらく沈黙が続いた。すると、司くんが口を開いた。なんていわれるのか怖くて僕は俯いた。
「……バカ類。」
「……えっ?」
すると寧々まで言った。
「今回は私も司に共感。ほんとにバカ類」
「お前のせい……?何バカなこと言ってるんだ。お前が来ていなければオレは今きっと死んでいた。お前のおかげで今オレは生きていられている。寧々もお前に救われている。お前が居なければ今ここある2つの命は失われていたぞ。」
「そうよ、今類がいるから私達もいるんだから、ほんっとそういう自分だけが責任感じるところ、どうにかしてほしいんだけど。アンタたち。」
「む?!なんでオレも入っているんだ!?」
「当たり前でしょ、あんたもバカだからよ。」
そんな二人のやり取りをみて僕はフッと微笑んだ。
「……やっと笑ってくれたな、類。」
「……あぁ、司くんと寧々のおかげだよ。そうだね、僕達はお互いに助け合っているんだから。」
「絶対に、俺たちの仲間と、ショーは守らないとね」
数日後、僕は司くんの病室で寧々と司くんと話し合っていた。まだえむくんの意識は戻っていない。
「類、これからどうする。」
「決まってるだろう?アイツらを〇す」
「ちょっと、それ犯罪なんだけど?気持ちはわかるけど」
寧々がため息をもらす。実際今どうやって懲らしめてやろうか思いついていなかった。人物さえもわからないのだから。しかも最近は僕達の前に現れていない。二人怪我をしたことでショーが出来なくなるとでも考えているのだろうか。
「ここは警察に任せた方が…いいのかな…まったく、卑怯な真似はせずに姿を現して欲しいものだけど…。」
そのときだった。
「……っ!?はぁっはっ息……がッ!?」
先程までなんともなかった司くんの様子が急変したのだ。
「司くん!?どうしたんだい!?」
「司ッ!?しっかりしなさいよ!!」
司side
類達と話していたときには違和感は感じなかった。だが、突然呼吸しずらくなったのだ。
毒の影響で手足は痺れ、肺がやられており、そのため呼吸器をつけているはずなのに、おかしい。まともに酸素が吸えない。
「……っ!?はぁっはっ息……がッ!?」
これ、かなりマズイんじゃ……。体は痺れて動かせない。はふはふと口が動くだけで酸素は入ってくれない。
もしかして、呼吸器に問題が…?
「司くん!?どうしたんだい!?」
「司ッ!?しっかりしなさいよ!!」
類達が慌てて寄ってくる。”呼吸器をとってくれ”そう伝えたいが、苦しくて喋ることもできないし、手を動かすこともできない。
「んぅ゛っはっ…る…ぃ…とって……」
なんとか途切れ途切れ話そうとするが、上手く伝わらない。苦しくて涙が流れる。
「はっはっ…こきゅ……き……ガハッヒュッ」
もう限界か……ブラックアウトしていく視界の中焦った様子の類達がみえた。
ごめん、な。
そこでオレの意識は途絶えた。
類side
「んぅ゛っはっ…る…ぃ…とって……」
司くんが必死になにかを伝えようとしている。何を取ればいいんだ?もう少し…司くん頑張ってくれ……!
司くんはもう限界そうで、呼吸できない口からは涎が垂れ、目からは涙が流れている。
「はっはっ…こきゅ……き……ガハッヒュッ」
“呼吸器”確証はないけど、きっと司くんはそういった。もう時間はない。ストンッと体の力が抜けた司くんを慌てて支えると僕は一か八かで呼吸器をとった。
「バカっ!?類、何してんの!?」
寧々は目を見開く。でも、僕はそのまま司くんに心臓マッサージをする。
どうか間に合え……。
可哀想だけど、腹の傷を気にしている場合ではない。
すると、なんとか司くんは息を吹き返した。司くんからは生理的な涙がダラダラと流れていた。僕はやっと力が抜けたように座り込んだ。本当に、助からないかと思った。もし、あそこで司くんの言葉を聞き取れていなければ今彼は死んでいたかもしれない。僕の震える体に手が置かれた。
「…類っ本当にありがとう…ッ司を、助けてくれて……きっと私にはどうすることも出来なかった…!」
僕達はナースコールを押した後、しばらく二人で慰めあっていた。
「どうやら、酸素ではなく二酸化炭素が送り込まれていたようで……!!もちろんこの病室の担当者はもう警察に突き出したので、ご安心を。もしこれで死んでしまったら私達はどうなっていたことやら……本当にありがとうございました!!」
慌てて駆けつけた看護師がそう告げて部屋から出ていくのをみると、僕達は表情を固くした。
「どうやら、まだ終わっていなかったようだね。」
「……うん。っなんでえむと、司だけ…っいっそのこと私でもよかったのに…!二人が苦しむ姿、もうみたくないっ」
寧々は涙を流して俯く。
「寧々、そんなことは思っちゃいけない。少なくとも僕はもう奴らに仲間を傷つけさせる気はないよ。絶対に懲らしめる。だから、寧々、せめて君だけは無傷でいてくれ。司くん達のためでもある。」
そう言って僕は眠っている司くんの頬を撫でる。
「……うん、司達を傷つけたこと、絶対に許さないんだから」
「フフ、寧々が元通りになってよかったよ。それにしても…これは常に警戒していないと…えむくんには一日中着ぐるみが交代でついているから安心だけれど、司くんは1人でいる時間も多い。さっきみたいなことが起きたら……」
僕は悩んだ。そのとき寧々がいった。
「……類、セカイにいってみたら?」
「え、でもそしたら寧々と司くんが…」
「何?私が信じれないわけ?」
寧々と眠っている司くん、これはほぼ一人でいるようなものじゃないか。そんな危険な目に晒すわけには……
そのときだった。
「ん……ぅ」
「司(くん)!!」
司くんが目を覚ました。
「あ…れ?オレ、助かってるのか…?」
「なんとかね…あそこで呼吸器を外していなければ間違いなく死んでいたね。どうやら二酸化炭素が送り込まれていたようだ。」
「そうか…すまない、助かった類。それと、寧々。」
「私は何にもしてない…から」
寧々は少し悔しそうに俯く。
「……類、いってきなよ。ほら、司も起きたし。」
寧々が話を戻した。
「……でも、」
「類、どこにいくかは検討がついているが、なぁに、オレがいるじゃないか…!寧々一人守るくらいどうってことないぞっ………ッ」
えっへんと胸を張る司くん。でもお腹の傷が痛かったのかウッと顔を顰める。
「ちょっと、無理しないでよね。」
「わ、悪い…」
でもそんなこと気にせずに、司くんは僕の方を真っ直ぐに見つめてくる。これは仲間を信用せざるを得ない。じゃないと、僕が仲間を信用していないみたいじゃないか。
「…わかったよ。でも。何かあれば絶対に連絡をしてくれ。僕がすぐに駆けつける。ちょっとした変化でもだよ?いいね?」
「わかってる。司が無茶しないように私が見とくから。ほら、早くいってきなさいよ。」
「あぁ、安心していってくれ!類!セカイでいい案をもらってくるんだぞ〜!」
「では、いってくるよ。」
僕は「セカイはまだ始まってすらいない」をタップしてセカイにいった。
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