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愛 し き 我 が 子 .
10年後____
チュンチュン…
「…~~~♪」
mb「またあの人上機嫌に織物してるっすねぇ…」
mb「数年前まで恐れられてたお方が…w」
mb「今は鼻歌しながら息子の帰りを待つ母親のようだなw」
mb「でもいいじゃない?同胞の血が流れてるのをココ最近見てないんだもの…」
「…コソコソと喋るのはやめんか……今妾はこの織物に集中しておるんじゃ」
mb「フフッw」
mb「申し訳ございませんニコ」
靡く真っ黒な髪
深い藍色の瞳は澄んでいる
白い肌に映える口紅
まさに美しい女性とはこの事だろう
荊棘「…ん?ここはこれでおうておるのか…?」
「荊棘様、そこ結構前から間違えてますよ…汗」
荊棘「……それをもっと早く言わぬか…」
荊棘「……赤賀実…ジッ…」
tm「嫌だって夢中でしたしッ!!(((」
荊棘「……はぁ…もうよい、スッ…」
荊棘「妾は庭園に行く、希霧が帰ってきたら((((」
「たっだいまぁ~!ギュッ!///」
荊棘「おやおや…w力が随分と有り余っておるなぁw希霧…」
zm「へへっ…w///」
明るく
太陽のような眩しい瞳
雪の中ですら
その声が鮮明に聞こえる
zm「なあなあ!聞いてや母ちゃん!」
zm「俺な!この前より3つ多く魚釣ったんやで!?////」
荊棘「フフッ…w」
荊棘「あっははッ!w」
荊棘「そうかそうか…wならばその魚で今日は焼き魚じゃのう…wヒョイ」
zm「わっ…!///」
荊棘「お帰りぃ…希霧…ナデッ…」
zm「!!」
zm「ただいま~!//ギュッ~!」
tm「…はぁ……w」
いつの間にか情が湧いて
食うことなど忘れてしまって
まるで我が子のように
今はこの人間の子が愛おしい
荊棘「さて…夕飯の準備でもしようかのぅ…wスタスタ…」
zm「さっかな♪さっかな♪//」
tm「じゃあ俺は味噌汁作りますね」
幸せな時間が
過ぎていくのはあっという間
鬼にとってはそんなの瞬きのうちに過ぎない
それでも
荊棘「…ほれ、そこはこう切るんじゃ」
zm「こう?」
荊棘「そうじゃ、上手くなってきとるぞ…wナデッ…」
zm「んふふッ~w///」
tm「ちょっとッ!ちゃんと魚見ててくださいッ!」
mb「正気ですかッ!人間の赤子を飼う話はッ!」
荊棘「当たり前じゃ、20になったら食う予定だ」
mb「いくらなんでもリスクが高すぎますッ!バンッ!」
tm「ッ…ゴクッ……汗」
静かで
威圧的な部屋に
怒鳴り声が響く
誰もが見つめる先に
気だるそうに長老の話を聞く
気高い鬼がいる
mb「貴方様は酒呑童子の最後の血を引くものですッ!」
mb「そのようなお方がッ!!近くに薄汚い人間の赤子を置くなど言語道断ッ!」
荊棘「さっきから煩いのぅ…耳がキンキンして仕方ないわ…ふぁ~…𓈒 𓂂𓏸」
mb「いいですかッ?!貴方様は高貴なお方なのですッ!」
mb「いずれは百鬼夜行を率いる妖怪の女王になるのですッ!」
mb「そのようなお方がッ!」
mb「人間を育てて食うなどッ!」
mb「貴方様まで穢れてッッ!!!」
mb「ゾワッ!!」
荊棘「お前もその薄汚い人間たちと同じように消されたいのか…ジロッ…」
mb「しッ、しかしッ…!」
荊棘「二度も妾に言わせるでない…この愚か者バチンッ!」
mb「ビクッ!」
荊棘「今までお前たちが妾の役に立ったことなど一度もなかろう?ジトッ…」
怒り狂う我らが姫様
それは恐ろしく美しい
鬼の中では頂点に立つ
それが酒呑童子の宿命
荊棘「お前が今できることは黙って頷くことだけじゃスッ…」
荊棘「他の者たちもだぞ?ギョロッ!」
mb「「「御意ッ!バッ!」」」
荊棘「赤賀実、お前はあの赤子を連れて妾の屋敷へ来い…スタスタ…」
tm「仰せのままに…」
荊棘「……スタスタ…」
mb「ギリッ…!」
人も鬼も
あまり変わりがない
mb「…あぁ、お可哀想な姫様…」
mb「人間に情が沸くようなお方ではないから大丈夫よ…きっと…」
勝手に人を憐れみ
mb「全くッ…魁朱様の時はあんなこと無かったのにッ…はぁ”ッ…」
mb「…酒呑童子の名に傷がついてしまえばどうするのかッ…」
勝手に落胆し
何を人の事でそれほど言える
まるで自分達が当たり前のような
tm「荊棘様?」
荊棘「……朋也…妾は一体なんなのだ?」
荊棘「どれをとっても…皆…母上の方がと言う…」
荊棘「妾よりも弱く…妾の意思なしじゃ生きていけぬ癖に…だ…」
tm「……荊棘に皆期待してるんだよニコ」
荊棘「はッ!あれがか?」
荊棘「期待とは程遠い眼差しじゃ…」
白い雪世界
竹林が静かに揺れる
母と歩いた庭園
思い出す度に心が締められる
荊棘「鬼も…人間も…」
赤子「ぁうッ~!」
tm「……この赤子…荊棘の方をさっきからずっと見てる…」
荊棘「その赤子面白いじゃろう?w」
荊棘「妾を見て泣きもせんのじゃw」
荊棘「家臣達ですら怯えるこの角さえも…スッ…」
赤子「きゃ~!w」
長く鋭い鬼の爪
生き物を殺すためにできたような
そんな手
それを赤子は嬉しそうに握る
荊棘「お前は憐れじゃのぅ~wでかくなれば妾に食われるのだぞ?w」
赤子「んぅ~…?」
何もわからぬ赤子は
不思議そうに
彼女の鋭い眼を見つめる
tm「……本当に…育てるの?」
tm「言っとくけど…俺も正直今回の話は反対だよ…」
tm「赤子だからと言って…それが人間じゃないってことはない…」
荊棘「お前もか…全く…見損なったぞ朋也…ジトッ…」
tm「……赤子に勘づかれたらどうするの?」
荊棘「その時はその時じゃ、食うしかなかろう」
冷めた目
いつからこんな瞳をしていたか
元はこんな瞳ではなかった気がする
母親が死んでから
彼女は悲しい眼を持ったまま
tm「…(いつかまた…昔の貴方に会えるように…」
荊棘「赤賀実、赤子とは天ぷらは食わぬのか?」
tm「死にますよッ!そんなもん食わせたらッ!」
また別の日
荊棘「とッ、朋也ッ!いきなり赤子が吐きおったぞッ!」
tm「落ち着いて下さいッ!」
またまた別の日
荊棘「朋也ぁッ!」
tm「ッ~~~!今度はなんですかッ?!」
荊棘「あッ、赤子が足で歩いたんじゃッ!//」
日に日に
彼女は未知のものへの興味津から
次第に赤子を自ら世話をするようになった
荊棘「のぅ…朋也?」
tm「?はい、何ですか」
荊棘「そろそろ、この赤子に名前を付けたくてのぅ…トントン…」
tm「ッ~~~~?!」
食うことなどを忘れ
すっかり愛着が沸いてしまったのだろう
彼女は小さな命を抱えながら
母親の真似事のように歌を歌っている
tm「忘れたのッ?!その赤子は君が食べるって言ったんだよッ?!」
tm「そんなこと、あのうるさい長老に聞かれればッ!((((」
荊棘「それでも妾は…サラッ…」
tm「ッ!!」
我儘な姫様
1度決めたことは二度と変えない
そんなのは昔っから知っている
でも
だからこそなんだろう
荊棘「おやおや…wもう腹が減ったのかぁ~?wコチョコチョ…」
赤子「きゃはは!w」
tm「……名前…どうするの?」
荊棘「…そうじゃのぅ……」
荊棘「ん~…」
しばらく考えて
彼女は閃いたとでも言わんばかりに
目を輝かせてこういった
tm「…のぞ…む…?」
荊棘「希望の希に!霧という漢字を合わせてみたのだ!」
荊棘「中々良かろう?w」
tm「また…どうしてその名前を?」
荊棘「…この赤子は…妾の霧のような霜のような…」
荊棘「靄のかかった心に来た一等星のようなもの…」
荊棘「霧に差し込む一道の希望…スッ…」
赤子を太陽と重なるように
上まであげた
少しの間は
天に連れていかれぬと言う願いも込めて
荊棘「お前は妾の大事な大事な…たった一人の息子じゃ…ニコ」
優しく微笑む彼女に
俺は反対などさらさらなかった
この人の幸せが
tm「希霧…か…」
tm「いい名前だね!ニコ」
「 1 4 に な っ た 頃 .」
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