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第3話 草木皆兵
叫び声を聞いた瞬間、私は窓を見た。しかし、そこには至って変な所はなかったんだ。何があったのか気になり、急いで家を出た。
(あそこか……)
走って行った場所には、髪の毛が茶色でショート髪の背が小さい男の子が居た。不安そうな表情をしていて、目はうるうるしていて今にも泣き出しそうだった。手をすごく強く握っているように見えたので、力を入れて涙を堪えているだろうと考えられた。
「叫び声が聞こえましたが……何かありましたか?」
それを聞いた相手は足や手が震えながら説明をしてくれた。
「あ、あの……ア、アキさんが……急に消えてしまって!!……」
力強く、それでいて恐怖を感じるような声でそんなことを言い放った。
その言葉を聞き、私の心臓の鼓動が早くなる。
アキさん…さっき名前を書いた人だ。突然たったさっき名前を書いた人が急に消えるだなんて…偶然がすぎる。
私がこの世から消してしまったのか?冷や汗が頬を伝い、動悸が止まらない。
「……」
「だ、だいじょうぶです…か?…」
「あっ……はい……」
焦っている時、急に話しかけられ正気に戻る。
──ん?
…焦っていて気づいていなかったが、この世界の人が『人が消える』と言う事に恐怖に感じる事がおかしい。『人が消える』ことがおかしいという事すらも忘れてしまっているから。この世界の人には殆ど感情がないのだ。その事から考えると…
「あの、あなた。記憶…ありますよね」