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第4話 吐故納新
「あの、あなた。記憶…ありますよね」
その言葉を放った瞬間、時が止まったのではないかと錯覚するような静かな時間が続いた。
「……な、なんで?何でですかっ!」
その言葉を聞きすぐさまに反論をする。
「記憶が無かったら、『人が消える』事に恐怖を覚えるわけないじゃないですか…」
その言葉を聞くと相手は私に質問をして来た。
「……でも、あなたも……記憶があるって言う……事に……?」
「はい。私は記憶があります。」
力強く芯があるような声で言った。
その言葉を聞くと相手は顔を歪め、私を理解できないとでも言うような顔をして口を開いた。
「で、でも人が消えたんですよ?こんな話してる場合じゃないですって!!」
私は言葉に詰まった。興奮のあまり現実が見えていなかった。急に現実を突きつけられ、動揺してしまう。
1回深呼吸をして、
「あれ、私かもしれない」
と緊張感のある声で言った。
そして、言葉を遮るように
「──い、いやいや……ど、どうやって消したんですかっ!!」
と、一歩後ずさりしながら勢いよく聞いてくる。
「こ、これなんですけど……」
その様子を見て私は躊躇いながらもさっきのノートを見せる。
そして、その説明をするため、「『記録』をしたんです。」と放った。
「『きろく』?」
目を丸くして私の話に食いついているようだ。
「はい。…昨日あったことを書くと……そこに出てきた人物が消えてしまっ…て……。」
その言葉を聞くとすぐさま相手は
「じゃあ、物は……」
と呟く。その言葉を聞き、
「──物?」と私は反応をした。