TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する



その夜。

リビングで母と再婚相手がテレビを見ている隣、〇〇はなんとなく落ち着かずにスマホをいじっていた。


ふと視線を感じて顔を上げると、亮がこちらを見てニヤリと笑った。


「なに?」


「いや、今日の昼さいろいろ聞かれてたでしょ?」


「っ……!」

図星を突かれて、〇〇の頬が一気に熱くなる。


「俺と一緒に帰っただけで、あんなに騒がれるなんて。面白かったなぁ」


からかうように笑う亮に、〇〇はむくれて言い返す。

「人ごとだと思って! こっちはすごい恥ずかしかったんだから!」


「だって……」

亮は声を落とし、目を細める。

「○○と帰るの好きだからさ」


心臓が止まりそうになって、慌てて視線を逸らす。

(やめてよ……そんなこと言われたら……)


けれど亮はもう、それ以上は何も言わず、ただ楽しそうに笑った。

その笑顔につられて、結局〇〇も小さく笑ってしまった。


――ほんの少し、二人だけの秘密みたいな空気が生まれた夜だった。



翌日。

教室に入ると、なんとなく女子たちの視線が刺さる気がした。


「ねぇ、亮くんって最近〇〇とよく一緒にいるよね?」

「ほんとそれ! 昨日も一緒に帰ってたし」

「〇〇ちゃんって亮くんのこと好きなの?」


からかい混じりの声に、〇〇は慌てて首を振った。

「ち、ちがうよ! ただ道案内しただけで、」


必死に否定するけれど、笑いながらもどこか探るような女子たちの目。

その奥に、ほんの少しの嫉妬が混ざっているのを感じてしまった。


胸がぎゅっと締めつけられる。

(……やっぱり、目立つのはよくないのに)


視線をそらしたその先で、亮と目が合う。

彼は状況を理解したように一瞬だけ眉をひそめ、

次の瞬間、さりげなく席を立ち、〇〇の隣に来て笑顔を見せた。


「〇〇、昨日の宿題さ。ありがとな」


女子たちの前で、自然に距離を縮めてくる亮。

余計にざわつく空気の中で、〇〇はどうしていいかわからず、ただ顔を赤らめるしかなかった。


(亮……どうして……?)


          第4話

          〜完〜


君と家族になった日

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚