TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

「ん,あれ?俺何してたんだっけ。」

「おはよう,それとごめんね。」

3日後の早朝,スカイは目覚めた。当の本人はあの時のことを全然覚えていないらしいのだが,私がどうなったかを話すとスカイは笑った。そしてお腹が空いたと。

「よかった,起きたんだな。スカイさんが起きたから朝食にしよう。」

スカラーさんの両手には温かいスープが。こんな雪山でスープなんて作れるのかという疑問があったがそんなこと今はどうでもいい。第一,スカイの意識が戻ったのだから。

「いただきます。」

「…ねぇ,スカイ。そのイタダキマス?って何なの?」

「いただきますっていうのは食材に感謝するときに言うんだよ。」

「ふぅん,そんなのあるんだ。思ってたんだけどスカイ君はどこの子なの?」

スカイは少し考えていた。故郷で何かあったのだろうか。そのままスカイはスープを一口,また一口と進めていく。そして空になった器を机に置いた。

「…驚かないでくださいね。俺,実はこの世界の出身じゃないんですよ。」

「え?」

「それっていわゆる異世界人ってやつ?ほんとに居たんだ。」

スカイはこくりとうなずく。まさかスカイがあの伝説上の生き物,異世界人だなんて思ってもいなかった。私はてっきり家出少年なのかと。

「俺のいたところは平和な国で,戦争なんてないおいしいものが沢山あるとこだよ。けどね,なんでだろう,俺死んだんだよ。で…。」

「で?」

数分間の沈黙がロッジを一段と寒くした。やっぱりスカイには何かある。

私もようやくスープを飲み干したときにスカイは口を開けた。

「勇者となり魔王を倒せ,と。…けどやっぱ俺には無理だよ。賢者にならない限りは属性ダメージが与えれる確率は低い。」

スカイが言った賢者。その役職は全世界にたった一人しかいないといわれている幻の役職。それが人間なのか,はたまたエルフなのかは誰にもわからない。賢者は一般人と違い主属性全般を操ることができる。属性がどれにも対応できるから魔物を倒すとき,あのように逃げることもない。

「スカイさん,これだけは言いますね。初めから諦めてはだめですよ。やってみないとわかんないじゃん。」

「そうだよ,スカイ。私だって,スカイだって強くなってるんだし。魔王倒して自慢しちゃおう。」

スカイは少しだけ微笑んだ。そうだよね,私だって死んで気づいたら全然知らないところで魔王倒せって言われたら無理って諦めちゃうだろうし。けど今の私にはできるような気がする。スカイに出会ったから。

スカイは責任感がすごくて,私みたいに楽観的には考えないで考えて慎重に行動する。力は私よりは無いけれど行動力は人一倍あると思う。そんなスカイが私についてきてくれたから今,私は頑張ろうって思えてる。

「エアリス,スカラーさん,ありがとうございます。そのために俺,もっと頑張らないとですね。」

ただし,そんなスカイには弱みがある。それはプレッシャーに弱いということ。私みたいになんでもあれは嫌だとか言わず,何があっても心にしまっておく習性がある。そんなスカイを私が支えないといけないな。

「ねぇスカイさん,その前の世界にいた時の事教えてよ。」

「えぇ,もちろん」




俺の本当の名前は勇磨天(いさみそら)。アーツって苗字をこっちで使ってるのは単に俺が技術とか美術が好きだからってだけで特に意味はない。死ぬ前の世界で俺は普通の高校生だった。

「空,お前大学行くの?」

「一応行こうかなとは思ってる。」

友達と将来のことについて語り合う日々だった。仕事のことについて語ってはいるが全然優秀じゃないし人とあまり話せない陰キャな俺を求める人はいないだろうと思っていた。毎日勉強して,バイトしておいしもの食べて。そうこうしているうちに大学受験の日になった。

「受験票…あるな。よっしゃ,このまま走ればまだ間に合___」

これが俺が無ざまに死んだ日だ。大学受験ギリギリだった俺は急いでいたせいかカーブミラーを見るのを忘れていた。物凄いスピードを出した高級車にはねられたようだ。気が付いたころには真っ白な世界。何も充実しなかった人生と別れることができて清々した。

〈こっちだよ,天君。〉

どこからか聞こえる声。その声が聞こえるほうにひたすら歩いて行った。

〈天君,君は世界を平和にする〉

何を言っているんだ。俺は物語では序盤にやられる最弱モブなのだ。そんな俺が主人公みたいなことできるわけがない。

〈いいや,できるさ。だって君は主人公(メインキャラクター)なのだから。仲間が君を,呼んでいる。〉

声はそう言った。


「それから数年,今にあたるってわけ。」

スカイにはいろいろなことがあったんだな。

どこからか聞こえる声,姿はないのに声だけが聞こえるってちょっと怖___怖くないし。スカラーは真剣な表情でスカイの話を聞いてるし,もっとこう,楽しく聞けないのかな。

「あ,そうだ。今日下山するの?もうちょっと泊ってもいいけど。」

「いえ,一度ギルドに行かないといけないので。」

それと今思い出したけど日亭さんに宿泊してたの忘れてたわ。…2日泊まらなかったから,かなり無駄遣いした。

私たちはノースマウンテンを下山し,日亭さんに部屋の鍵を返し,ギルド【ノーアバリス】に向かった。


to be continued→

loading

この作品はいかがでしたか?

8

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚