「あぁ、すみません! 起こしてしまいましたね!」
慌てた様子で部屋に入って来たのは、若いメイドさんだった。
どうやら、カーテンを開ける音が大きかったみたい。
「いえ、大丈夫ですよ」
そう答えながら、僕は彼女の顔を見て驚いた。
昨晩から僕の世話をしてくれていた女性だ。
確か名前は――。
「申し訳ございませんでした。お休み中だとは知らずに、失礼いたしました」
私がまだ何も言っていないにも関わらず、勝手に謝られてしまう。
しかも頭を下げたまま、なかなか上げてくれない。
「本当に気にしなくていいからね。私は大丈夫だよ」
朝食の準備をしながら、そう声をかける。
だけどメイドさんは黙ったままで、返事をしてくれない。
父の方を見ると、やっぱり難しい顔をしたまま何か考え込んでいる様子だった。
今日のメニューは目玉焼きにベーコンエッグ、それにサラダとトースト。
コーヒーもあるけど、砂糖とかミルクは無しで飲むことにしてみた。
ブラック派っていうわけじゃないんだけど、ちょっと大人になった気分になれる気がしたから。ミルク多めのカフェオレを作ってみた。
ふぅーっと息を吹きかけて冷ましてから口をつけると、温かく甘い味が広がる。
あぁ、幸せだな。
お砂糖は入れなくてもよかったかも。
昨日の夜は、少しだけ後悔してたけどね。
でもやっぱり、この方がいいや。
「ん〜っ!」
両手を思いっきり上に伸ばしながら背伸びをする。
身体中を心地良い刺激が駆け巡った後、ゆっくりと力が抜けていった。
「よし! 元気出たぞぉ!!」
私は、自分に言い聞かせるように声を出した。
よし、大丈夫!! 今日の私は絶好調!!! そう思いたい
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