──────メテヲ視点──────
「───はは。」
神の子らは楽しい時は笑うらしい。逆説的に言えば笑えば楽しいのでは?そう思い、メテヲも神の子らを真似て、笑ってみるが、あまり効果を感じられない。楽しい、と思えなかった。
───感情は、着々と消えていく。神に不要なものらしく、今更取り戻したいとも思わないが、意思疎通する時、なかなかに不便だと感じる。
熊の子───の、名はもうあまり思い出せない。何故だろう。メテヲの記憶から徐々に抜け落ちていく感覚、いや、上から上書きをされているかのような───
適切な表現が思い浮かばないが、とりあえず熊の子を殺すという指令は出されている。ならば、それに従うだけで良い。不必要な考えは取っ払うべきだ。
「終わりだ。」
そう、メテヲが言えばメテヲと熊の子がいる子の立方体の空間が徐々に、しかし確実に小さくなっていく。
そして、メテヲは最後に一礼をし、この空間を圧縮する。
当然、メテヲはこの圧縮は聞かない。空間が伸び縮みしようが、それらはメテヲに干渉することが出来ないからだ。
───しかし、熊の子はどうだろうか?1部の空間を自身のものと豪語する肉体を持ち、魂という核が圧縮されればひとたまりもないだろう。無論、その事を理解してやっているのだが。
メテヲはちらりと空間なあった場所を見る。そこには───新雪のような髪を赤黒く塗りあげられたものだけが、唯一視認できた。それ以外はぐちゃぐちゃで、どれが腕だったのか、はたまた足だったのか…それとも目だったのか。メテヲには判断をすることは出来なかった。
───呆気ない死だ。
そりゃそうである。神に逆らった時点で生者の死は決定している。時空を操る神、なんて言う聞いただけでも恐ろしく感じるほどの名を持つメテヲに挑んだ時点で負けなのだから。
メテヲは白衣を見る。少しオーバーサイズの白衣だ。赤色のひとつもついていなく、依然としてその服は白いままだった。それは、メテヲが無傷であることを現していた。
突然、視界がぼやける。あまりにも突然だったもので、周りにまだ敵が残っているのかと確認するが、それを見つけることは出来ない。───いや、頭がぼーっとする。深く、考えることが出来ない。1度、時間を止めて───いや、それはやめておいた方がいい。あれはメテヲの手に負えない。
じゃあ、メテヲの身に何が起きているのか。
目が熱くなってきたのを感じて、思わず触れば、液体のようなものがメテヲの指に触れる。
「───は、?なに、これ?」
自分でも間抜けな声だったと思う。しかし、それほどまでにこの現状は理解できなかった。何が起こっている?熊の子の───今思い出した、ぜんさんの最後の悪足掻きだろうか?なるほど、意識撹乱系なのだろう。殺してもこれは収まる気配がない。時間経過なのだろう。落ち着くまで放置するしかないようだ。進めてもいいが、それは歪んでしまうからやめておこう。
──────一説によると、『終わりだ。』という言葉は死亡フラグらしい。
ぼやけた茶色が視界に入ったかと思うと、次にはメテヲの意識は残っていなかった──────。
──────???視点──────
…最悪だ。
僕はそう思う。口にしてしまったかもしれない。慌てて、口を抑えるが、特段、バレたという訳では無いようだ。僕は生きていた。───親友が死ぬことによって。
僕の名前はなかった。ただ、わかるのは茶色のクマであること。親友のまっさら羽のような白い髪では無いことだろう。
親友の名前はぜんこぱす。何千年も、もしかしたら何万年も前に出来た、最初で、最後の大親友。
そして、僕の人生で初めて食べ物ではない、と呼ばれるものを食べた食材でもあった。
僕は、人生のほとんどを【ぜんこぱす】として育った。この世に生まれて10年後から、今まで、ぽれはぜんこぱすで、僕ではなかった。そのせいで、魂の形はぜんこぱすになっているほどであった。
また、思い出す。ぜんこぱすの皮を被った後に、暴食の悪魔と契約して正式に、ぜんこぱすと入れ替われた。僕が、僕であることを忘れるほどに。
めめ村のメンバーの誰一人として、本当の僕を知らなかった。そりゃそうだ。何万年もぜんこぱすなら、僕はもうぜんこぱすだ。会った時からもう僕はぜんこぱすだったのだ。
空間を圧縮された時、僕は死を覚悟した。最後に親友も死ねるならいいだろう。神に殺されるのは仕方がないことだ。なんて、思っていたのに。
最後の最後で助け舟を出してくれたのは親友だった。ぜんこぱすは死んだ。
普通は食べた物になり変わる。でも、ダメージを食らうだけでそれは解除される。が、何万年と外されなければそれは定着する。──────そう、死ぬ瞬間まで。ぜんこぱすは僕を庇って死んだ。
庇って死んだ、なんで言うと聞こえが良いが、それは僕の醜さを隠すための方便でしかなかった。
──────僕は、神を食べた。
挨拶も、何もせずに。なぜだか神は泣いていて。お前が殺したくせに、と大声で言いたかったのを我慢して。背後から、忍び寄る。ここまで近づいてもバレないのか。と少し驚きながら、背徳感でいっぱいの心で食べた。丸呑みだった。神は反応すらできなかった。何も抵抗しないものは、ただの食材でしかない僕にとって、それはご馳走だった。
「メテヲは神になった。」
ここで切っりまーす!メテヲさんが実質的な退場!!おつかれぃ!…と、言っても悲しいものは悲しいですね。敵と言えど、元仲間でしたし。しかし、今回は珍しいパターンですね。ぶっちゃけぜんさんここで退場すると思ってたんですが。まさかがすぎますね。あ、春曰く本当はメテヲさんが勝つ予定だったけど、書いてたら変わってた、らしいです。まあ死亡フラグ立ててましたしね。
それと、番外編を見てくれた人ならわかると思うらしいですよ。なんか、ぜんさんが既に死んでたこと。見た人なら察せられてたんですかね…?
それでは!おつしいな!
コメント
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ぜんさんの設定はこれ思いつき?元々考えてた?
1コメ!あんどしつもん! 師匠って物語の設定のメモ書いてたりしますか…?