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第七話 〜告発と沈黙〜
冒頭:院内会議室。
【病院幹部】
「数年前の医療ミスに関する匿名通報が入りました。関係者は……佐藤悠真医師です。」
一瞬、場が凍りつく。中島もその報告を遠くから耳にする。
控室にて、蓮が佐藤に声をかける。
【中島蓮】
「先生……本当なんですか?あのとき、患者を……」
【佐藤悠真】(視線をそらし)
「それを今、お前に語る意味はない。」
【中島蓮】(感情を抑えきれず)
「俺は先生に憧れてた。全部、信じてたのに……!」
中島、拳を握りしめて部屋を出ていく。
フラッシュバック:7年前、佐藤が唯一“処置を止めた”患者──彼の妹。
【佐藤(若い頃)】
「蘇生を続ければ、植物状態になる可能性が高い……でも、兄として……」
決断を迷い、一瞬だけ“医者”でなく“家族”として動いた佐藤の姿。
翌日。緊急通報──山中でドクターヘリを要請。中島、藤原と共に現場へ。
【藤原大輔】(操縦中)
「お前、佐藤と何かあったな。」
【中島蓮】
「……もう、あの人の背中を見れないかもしれない。」
【藤原】(静かに)
「それでもな──命の現場じゃ、信じた仲間に背を向ける暇はない。」
現場に到着。事故車両に挟まれた妊婦。胎児の心音がかすかに残っている。
【中島蓮】
「もう時間がない…母体か、胎児か…!」
そこへ、佐藤がヘリで駆けつける。
【佐藤悠真】
「お前の判断は…?」
中島、苦悩しながらも決断する。
【中島蓮】
「胎児を…助けます。母親の意識はもう戻らないかもしれない。でも、この命をつなぎたい。」
佐藤が小さくうなずく。
【佐藤悠真】
「わかった。俺がやる。命の責任は、俺が背負う。」
病院へ搬送──奇跡的に、胎児は無事に誕生する。
【ナース】
「母体は……心停止です。」
【中島蓮】(静かに目を閉じて)
「命って…こんなにも、重いんだな……」
エピローグ:
夜の病院廊下、佐藤が中島に言う。
【佐藤悠真】
「俺は過去に逃げた医者だ。でも、お前には、俺を超えてほしい。」
【中島蓮】
「……先生、俺、もう一度…あなたを信じていいですか?」
佐藤、黙ってうなずく。