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ダンディー・ダーリン「年上の彼と、甘い恋を夢見て」

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ダンディー・ダーリン「年上の彼と、甘い恋を夢見て」

6 - スーツをスマートに着こなした、絵になる彼の正体 -6-

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2024年06月12日

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「こちらこそ、よろしく頼むよ。それと、もうひとつ君に頼みたいことがあるんだが……君は、誰か車の運転の出来る人を知らないだろうか?」


ふいにそんな話が切り出されて、


「……車の運転、ですか?」


どうしてそんなことをと、やや困惑しながら問い返した。


「ああ、急で申し訳ないが、君の知り合いでも友人でも身元がわかっていれば問題はないから、誰か車の運転が出来る人を紹介してもらえないか?」


言葉の端々に、だいぶ切羽詰まっているかのような雰囲気が感じられて、


「免許でしたら、私も持っていますが……」


と、口に出した。


「そうか。それなら、私の運転手もしてもらえないだろうか?」


唐突にそんな提案をされて、


「えっ、運転手を!?」


驚きのあまり大きな声が出て、慌てて自分の口を両手で押さえた。


「長く専属だった運転手が、急に故郷くにへ帰ることになって辞めてしまったんで、困っているんだ。悪いが、お願いをできないだろうか?」


「私みたいな者に、そんな大役を任されてもいいんでしょうか? もっと素性などがはっきりとしている方を、出来れば選ばれた方が……」


「君も、素性などは充分にはっきりとしていると、私は思うが」


そう言って、確かな信頼を寄せた眼差しをじっと私に向けた。


「……私の運転手は、嫌だろうか?」


一瞬、『私のことが、嫌だろうか?』と、愛の告白でもされたかのように勝手に脳内変換されて、顔からボッと火が出そうにもなった。


「嫌ではないのですが……」


わけもなく赤らんでくる顔をなんとか取り繕いながら、ぼそぼそと口にする。


「私が、君にやってほしいんだ。頼むよ」


と、頭が下げられて、


「そんな、頭を下げられたりなんてしないでください。私のような若輩者ではなく、やはりもっとベテランの方に頼まれた方がよろしいかと……」


恐縮し切って話すと、


「……若輩?」


と、不思議そうに首が傾げられた。

ダンディー・ダーリン「年上の彼と、甘い恋を夢見て」

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