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〜side小柳〜
俺は今、喜多見と街を巡回している
喜多見はよく笑い、よく喋り、よく質問してくる
「こっちってボブキャット方面ですよね?」
「そうだ。で、こっちがアーティファクトに抜ける橋」
「なるほど」
俺は説明のために車を空き地へ停める
「ここってさっき言ってた緑橋の事ですよね」
「そうね。凄いな、全部覚えてるの」
「僕得意なんですよ!情報集めたりするのも好きなんです」
そう言いながら俺の手を取る
そして手首辺りに鼻を近づけた
「ロウ先輩の匂いはジョブズブレンド」
「え、すご‥‥香水も詳しいのか?」
「いいえ、気になったから調べたんです」
「へぇ」
「納得いくまで調べ上げるのが趣味なんです」
「その執念があるなら警察に向いてるのかもな」
「ホントですか!」
喜多見は俺の腕を左右に振り回しながら喜んでいる
なんだか北見を見てるみたいで笑ってしまう
「見た目は違うのにな」
「え?何ですか?」
「いや、ちょっとお前と似てる人がいて」
「誰ですか?‥‥付き合ってる人とか‥‥?」
「ん?さぁな」
俺の言葉に横を向き何かを言う
「‥‥否定しないんだ」
「‥‥なんて?」
「いえ、何も。そう言えば先輩は帰りに何処かに寄って帰ったりしますか?」
「いや、しないね。家と署の往復くらい」
「えーっ、僕ロウ先輩にどこか連れてってもらいたかったのに」
「いや、行かんね」
「ざんねーん」
「あれ?どこのホテルにとまってるの?」
「今は少し離れた空港近くのホテルです。でも全泊できなくて、明後日からここの近くのホテルに移って来ますよ」
「移動面倒くさいな」
「はい。だから要らないものとか使ったものは署の大きなロッカールーム借りてそこにしまってあります。ローレン所長すぐに融通利かせてくれてありがたかったです」
「あのロッカー広くて良いよな。俺も同じとこのハーフサイズのロッカー使ってるよ。今じゃ物置になってるかも」
「そうなんですか?だってあそこで一回も会いませんもんね」
喜多見は話しやすい
自分の事言ってる様で聞き上手なのかもしれない
北見みたいで勝手に親近感を覚えていた
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