夏の夜、俺の実家。
夏特有の湿った空気と、外から聞こえる虫の音が静かに響いている。
昼間は親戚との集まりで賑やかだった家も、今はすっかり寝静まっていた。
そんな中、隣で眠る翔太を見つめながら、ずっと葛藤していた。
(……やばい、無理かもな)
実家に滞在して三日目。
もう限界だった。
そっと手を伸ばし、翔太の頬に指を這わせる。
翔太がぴくりと眉を寄せたが、起きる気配はない。
たまらず、そっと唇を重ねた。
「ん……涼太……?」
小さな声で翔太が呼ぶ。
その声に煽られたように、もう一度、今度は深く、翔太の唇を吸った。
「……ここ、実家だよ……っ」
必死に抑えた声で翔太が囁くが、俺は聞く耳を持たない。
押し倒すように翔太の身体に覆いかぶさる。
「……我慢、できない」
低く掠れた声でそう告げると、翔太の顔がほんのり赤く染まった。
翔太も身体の奥が疼いているのか、抗う力が弱まっていく。
「……バレたら……どうすんの……」
言葉とは裏腹に、翔太は俺の背中に腕を回し、自ら唇を重ねた。
啄むようなキスから、すぐに熱く、貪るようなキスへ変わっていく。
布団の中で、互いに衣服を手探りで脱がしあい、肌を重ねる。
指で、唇で、翔太の敏感なところを探り当てるたびに、翔太は甘い吐息を漏らした。
「声……我慢して……」
そう囁くと翔太は必死に唇を噛みしめた。
けれどゆっくりと、翔太の中を満たすと翔太の身体が震え、堪えきれない声が零れた。
「んっ……ふ、ぁ……」
深夜の静寂を破らないように、必死で声を殺す翔太。
そんな翔太をさらに追い詰めるように、ゆっくり、深く、奥まで達してきた。
汗ばむ身体を重ね、必死に声を堪えながら、何度も何度も深く繋がる。
翔太の内側を押し広げ、愛しさを注ぎ込むたび、涼太も息を荒げた。
「……っすきだよ、翔太……」
「……ん、俺も、……」
掠れる声で想いを重ね合い、さらに奥へ翔太の一番深いところへ到達して、激しく震えた。
ふたりだけの、誰にも知られない夜。
しっかりと抱きしめあったまま、静かに余韻に沈んでいった。
そして、窓の外で鳴く蝉の声だけが、夜の空気を揺らしていた――。
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