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小説
私が彼に付いた嘘は……
「イギリスは既に死んだ」と言うものだ。
実際のイギリスはまだ生きている。だが、私の支配下に置かれているがな。もっと詳しい真相を話すとしよう……
そう……第二次世界大戦に勝利する数年前……私は仲間と共にイギリスの元へ来た。その時のイギリスは「貴方はソ連にやられたはずなんじゃ……」と戸惑いを隠せずに怯えていた。
私の訃報は、私の同士達による嘘の訃報だ。そうすれば、イギリスを油断させる事ができるからだ。そして予想どうり、彼は油断していた。そりゃそうだ。相手は世界に影響を及ぼすかもしれないアメリカに次ぐ大国だからな……
そりゃ私が負けたのは当然だと思っていただろう。ソ連がようやく「悪党」を倒したと安堵していただろう。だがなぁ……イギリス。勝利の女神は「英雄」である私に微笑んでくださったんだ。悪く思わないでくれ。
だが、彼をこのまま殺すのはもったいなかった。何故かって?私の仲間としていい働きぶりをしてくれるだろうと見込んだからだ。かつての栄光が残っていると考えていたからなぁ。それを分かっていた上で彼に2つ選ばせた。
それは、単純に言えば……「生きるか死ぬか」の簡単な選択肢だ。その言葉を聞いた彼は「そんなの選択って言わないですよ」と言ってきたものだったから、彼の足元目掛けて銃を一発撃った。その時の彼の顔は……「従わなければ殺される」と言う絶望的な顔をしていて私は、笑みがこぼれた。
そして、彼は「分かりました。私は貴方に従います」と素直に言ってくれた。これでようやく、欧州を支配できた……
おっと、もしかして君たち……フランスの事が気になっているのでは無いか?
いいだろう。ここからはヴィシーによる証言だ。
「ヴィシー!あぁ……ようやく君と出会えて良かったよ」と泣きながら言って来たのは、自由フランスだった。なぜそこまで泣いていたのか。なぜ僕に会いたかったのか……僕にはさっぱり分からなかった。
「さぁ!早くここから逃げよう。きっとイギリスがナチスを倒してくれるはずだから!」と虚言を言っていた。僕は咄嗟に「僕はこのまま、あの方の元につくよ。」と言った。そしたら、「なんでそんな事言うんだ?!」と信じられないと言わんばかりの顔つきをして僕にそういった。
僕は「これが普通だ」と思っていたのに……それを自由は真っ向から否定した。そこから……分かったんだ。「もう分かり合える事は生涯ないだろう」と……だから、僕は自分が持っている両刃の斧で僕の手を引っ張っている腕を切った。
そこから忽ちに綺麗な薔薇の花びらが散って、自由は鼓膜が破れる程の大きな声で叫んでいた。あまりにもその声がうるさいもんだったから、さっさと殺そうと考えた。そして殺される寸前に……彼はこう言った。
ようやく、一つになれたと思ったのに……
ようやく、奴を倒せると思ったのに……
ようやく……ようやく……
ようやく……大切な人の役に立てると……思ってたのに……
グサッ!……
鈍い音がたった2人きりの部屋に響き渡り、あたりは沢山の薔薇の花で埋め尽くされていた。
そんな沢山の薔薇の花に囲まれたヴィシーは……ただただ……呆然と自由の亡骸を見つめていた……
続く
コメント
10件
ヤッタァ!予想が当たってます!ハッピーエンド!(((
ほぼ、予想が、当たってるだと?!
アァアァアァァアーァァァァ最高!!!!!