テラーノベル
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「救い? ……笑わせないでよ!」
その瞳は、鈍色だけが宿っている。
「手を取り合って何をしようが、ここはあの場所じゃない!一度脱落した人間が集まる、掃き溜めなの!」
握りしめたYukiの手が、一瞬びくりと跳ねた。
「確かに、私は逃げたよ、Asuka」
Yukiが、震える声を絞り出す。
「成績が落ちて、視界が真っ暗になって。この学校に来て、私は『死なないこと』を選んだの。それを脱落と呼ぶの?」
「……っ」
「今のAsukaはもっと酷い。ここにいながら、ここをバカにして、自分自身の今さえ否定してる。」
教室の窓から差し込む夕陽が、Asukaの横顔を赤く染め上げる。
「仲が良かった? ……そんなの、同じレベルにいた時の幻想でしょ。」
Asukaは吐き捨てるように言うと、カバンを掴んで教室の出口へ向かう。
すれ違いざま、彼女の肩が微かに震えているのを、私は見逃さなかった。
「……見てなさい、Asuka」
私は、彼女の背中に向かって、燃えるような緋色の空の下で宣言した。
「私たちがここで生きている事実は変わらない。あなたに否定された生きるための救いで、精一杯生きるわ」
Asukaは足を止めず、一度も振り返ることなく教室を去っていった。
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