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後日。
何度も考え続け、やはりこれはデートなんじゃないかと結論を出した末。
お兄ちゃんに一応報告。
その後週末、電車に揺られていると。
「おや? シックスじゃないか」
「…………へ? あれ? フォー」
電車の中で、意外な人物に会ってしまった。
なんで気が付かなかったんだろうって程の巨体が、隣に居た。
一人で居る時は、視線を下げてばっかりいるからですかね。
逆に向こうは、こっちが小さすぎて気が付かなかったみたいだけど。
「シック……じゃなかった、この呼び方は不味いんだったな。シロもお出かけか?」
ニカッと気持ち良いくらいの笑顔を向けるのは、どう見てもリアルの4card。
もう何度か見ているからね、というかこの人を見間違う筈もなく。
「はい。今日はちょっとお友達に、リアルでフラッシュライトの事を教えて頂く約束をしてまして。これから遊びに行くところです。フォーもお休みですか?」
「こらこら、リアルでは俺達の名前は目立つぞ?」
「すみません、なんかもう癖付いてしまって……というか、“アウランド”さんでも十分目立つ気が。見た目的には、フォーは日本人に近いですから」
「そうか? では、別にフォーで良いか。愛称に聞えない事もない」
「良いんですかね? まぁ皆ガンサバやってる訳じゃありませんし……」
という、とんでもなくどうでも良い会話を繰り広げてしまった。
いやでも、私からしたら物凄く貴重な体験というか。
いきなり会った知り合いでも、普通に喋る事が出来てるって凄い事かもしれない。
4cardはもはや“先生”って感じが凄いので、それもあるのかもしれないけど。
あと、電車内で知り合いと会うっていう低確率には普通にビックリした。
「しかしフラッシュライトか……俺もオススメしたい物もあるが、友人と出掛けるのなら邪魔をする訳にはいかないな」
「な、なんか気を使ってもらってすみません……でも、フォーのオススメとかも今度聞いてみたいです」
「では、そうしよう。今日は楽しんで来ると良い。それで、ガードは居ないのか?」
「……ガード?」
隣に並んだ4cardから、不思議な発言を貰ってしまった。
ガード、と言いますと?
はて、と首を傾げていると、彼は少々周囲を見回してから。
「ボディガードだ。シロ、俺からこんな事を言われるのは嫌かもしれないが……君は、少々幼く見える傾向にある。決して貶している訳では無く、他者からの視覚的情報としての話だ」
「あ、はい。それは自覚しています」
身長低いしね、私。
あと、クラスメイトの皆を見る限り……顔も、ね、はい。
決して大人っぽくはないですね、悲しい事に。
小学校で成長期が止まったんじゃないの? ってくらいに、成長しませんね。
泣きたくなるくらいに。
「であれば、もう少し外出には気を使え。危険だ」
えぇと? 危険、でしょうか?
私の知っている限り、小学生でも一人で電車に乗ったりする気がするのですが。
しかしながら、彼の常識では少々異なるらしく。
「今日は友人と遊びに出かけるのだな? よし、合流するまでは俺がガードを務めよう。いくら平和な国とは言え、犯罪が無い訳では無い。警戒するに越した事は無い」
「ありがとう……ございます? えぇと、でも、多分平気ですよ? 私、そういうのに巻き込まれた事無いので……」
ポカンとしつつ答えてみたのだが、相手は静かに首を横に振ってから。
とても真剣な顔で、此方を覗き込んで来て。
「“これまでは”大丈夫だった。それは安心には繋がらないんだ、シロ。何か起こる時は、一瞬だ。それで失われる命もある。まさか自分が、そう思っている人間程、隙が出来る」
「な、なるほど……? で、でもフォーの休日の予定に狂いが出てしまうのは、申し訳ないというか」
「なに、俺はサムライやニンジャが使っていたとされる、“カタナ”の展覧会へと向かうだけだ。長い時間やっているイベントだからな、何も問題はない」
という事で、黒沢君と合流するまでは4cardが一緒に居てくれる事になった。
よく分かんないけど、物凄く頼もしいボディガードを雇ってしまった様だ。
今度、何かお礼しないと。
◆
これは現実なのだろうか?
休日、好きな子とデートの約束を取り付けた。
これだけでも高校生男子としては舞い上がっておかしくない状況。
最近は兄貴からの訓練もキツイし、休日に羽を伸ばす意味でも、そして他の意味でも。
それはもう普段の悩みなど一旦脇に放り投げる勢いで、集合場所へと足を向けたのだが……。
「あれは、なんだろう」
約束した場所……前回はちょっと治安が悪そうだったので、今日は別の場所にしたんですが。
そこへと辿り着けば、既に白川さんが居た。
居たんだけど……彼女の後ろに、ターミ〇ーターみたいな人が仁王立ちしているのだ。
待って、俺の見間違い?
以前駅前で見た、無駄に厳つい人に似てる気がする。
というかあんな体格の人、見間違える訳がない気がする。
もしかしたら、全然関係なくて。
あの人も他の人と待ち合わせているのかな? なんて思ってしまったが。
度々白川さんに話しかけては、ニカッと表情を緩めているではないか。
そして彼女もまた、普通に笑いながら話しているし。
いや、誰!? というか何!?
こっちからしたら白川さんの兄さんだって、立場的に滅茶苦茶怖く感じるのに。
今目の前には、見た目からして更に凶悪な上に、ラスボスみたいな人が登場したんですけど。
待って待って待って、俺はどうすれば良いの。
ちょっと見た目と眼光が厳つすぎて、白川さんとその人の周りだけ人が居ないし。
そのお陰で見つけやすかったのもあるんだけど。
けどね、これは流石に異常事態が過ぎる。
誰! というかどういう繋がり!?
アレが実は白川さんのお父さんですって言われたら、俺の首とかペットボトルの蓋みたいにねじ切られそうなんだけど。
娘がお世話になっております、では死ね。とかって状況になったりしない?
とはいえ、そのまま放置する訳にもいかず。
プルプルしながら近づいてみれば。
「し、白川さん……お、お待たせしましたぁ……」
ハ、ハハ……今大量破壊兵器みたいな人の瞳が、ギュンッ! ってこっちを向いた。
怖いよ! 流石にコレは怖いよ!?
「ぁ、えと、私も今来た所なので! 全然、待ってませんので!」
そんな言葉と共に、タタタッとこっちに駆け寄って来る彼女。
その後ろからは、当然ターミネー〇ーが付いてくる訳で。
「君が、“クロサワ君”。で良いのかな?」
ヤバい人から、普通に声を掛けられてしまった。
しかも、ガッと此方の肩を掴んで来たではないか。
あ、これ……俺、死ぬ?
などと、顔面真っ青なまま絶望感に支配されていると。
「出来れば、今度はシロを家まで迎えに行く所から行動を開始すると良い。平和だと思っていても、何があるかは分からない。こんなに人の多い場所だったとしても……シロはトラブルに巻き込まれやすい要素が多過ぎる。覚えておく事だ」
此方の耳元に口を近付け、ボソッと助言されてしまった。
いや、こっわ!?
「す、すみません! 今度からそうします!」
「うむ、そうしてくれクロサワ君。ではな、シロ。良い休日を」
「えと、ありがとうございました! フォーも、楽しんで下さい! 刀!」
「あぁ! いっぱい見て来る! 件のニンジャにも、アポイントを取っておいてくれ!」
そんな言葉と共に二人が手を振り合ってから、彼は去っていったが。
ごめんなさい全然意味が分からない上に情報量が多いです。
彼女はいったい彼と何の会話をしているのか。
というか、彼はいったい誰なのか。
だって忍者とか刀って言ってた、しかもアポを取るって何。
白川さんの友好関係は、いったいどうなっているんだ?
もはや色々突っ込みたくて仕方ない状況に陥ってしまったのだが、白川さんはちょっとだけ赤い顔をしながら此方を見上げて来ており。
「あ、あはは……すみません、驚かせちゃって。私の“バイト”先で、一緒に働いている方です。筋トレとかの内容も、相談させて頂いている……先輩? みたいな感じです。一人で待つって言ったら、ボディガードするって言われちゃいまして」
「頼もし過ぎる限りだね……うん、凄かった。マジで」
「すみません……でもでも、とても良い人なんですよ? 見た目が凄いのと、結構心配性なんですけど……」
心配性……そうか、心配性なのか。
もはや完全に護衛に入っている特殊部隊の工作員みたいな感じだったけど、威圧感ヤバかったけど。
しかも名前だってフォーって……ん? フォー?
4、と言うと。
確かガンサバの4cardも、あんな感じで厳つい人だった気が――
「と、とにかく! 行きましょう黒沢君! 今日は、早い段階から射撃場に入れるのを楽しみにしてたんです!」
「う、うん。そうしよっか」
兎にも角にも、本日のデートが始まったらしい。
ファーストインパクトが強すぎて、完全に思考回路が真っ白になった気がするけど。
しかしながら、ちょっとだけ顔を赤くした白川さんが……ちょこんって感じに、今日は隣に並んでくれた。
待ちきれないのか、チラチラと此方に視線を送って来る感じで。
多分夢中になってる事が楽しみ過ぎるだけなんだろうけど、これは大きな進歩というか。
いつも後ろに隠れる様にしていた彼女が、隣に来てくれたのだ。
嬉しくない訳が無い、というのと。
「えぇと、その……今日の恰好も、可愛いです……」
「……アリガトウ、ゴザイマス。前から思ってたんですけど……そういう事言うの、恥ずかしくなったり……しないんですか? ウレシイですけど」
「いや、まぁ……慣れてないから、恥ずかしいけど。でも、可愛いので」
そんな事を呟いた瞬間、白川さんのポジションは俺の背後に変わってしまった。
この発言は、失敗だったか……。
柘榴とAI

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#没入感フィクション
柘榴とAI

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柘榴とAI

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コメント
1件
うわ、138話読み終えた……! まず電車で4card(フォー)と偶然バッタリ会うところ、めっちゃテンション上がった。“ガード”って発想が出てくるの、彼の性格と世界観がしっかり滲んでて好きだな。黒沢君視点で「ターミネーターみたいな人が仁王立ち」って描写、笑ったけど実際怖そう。でもフォーがボソッとアドバイスしていくシーン、ちゃんと心配してるのが伝わってきてグッと来た。あと最後、白川さんが隣に並んで「可愛い」に照れて後ろに隠れる流れ、甘酸っぱくて良い……デート、うまくいくといいなあ。