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柘榴とAI

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#没入感フィクション
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おお、第139話! 今回は白川さんのシスコン全開&自己嫌悪と、ファイブが八を連れ出す話が同時進行で面白かったわ。早乙女さんの「信用してないって思われるかも」って一言が白川さんに刺さったシーン、すごくリアルでグッと来た。あと、ファイブは普段のチャラい感じとは違って、ちゃんと八のこと考えて動いてるのが良いよね。六のデートをダシに使っちゃう辺り、やり手だな〜って思った🔥 次も気になる!
「ちょっと白川君、何そんなにカリカリしてんのよ」
「してないです」
「してるから、めっちゃしてるから……土日出勤、そんなに怒ってるの?」
そんな声と共に、早乙女さんが俺の机に缶コーヒーを置いてくれた。
短くお礼を言いつつ、グイッと一気飲みしてからすぐさま仕事に取り掛かる。
今日の分をとにかく終わらせろ、他でエラーが出たとしても、俺の仕事だけは終わらせろ。
そしたら中途半端な時間でも帰れる、絶対俺は帰る……というか、妹の元へと向かうのだ。
「午前中だけで終わらせますんで、午後は帰りますから」
「なに? また忙しい用事? それともまた夢月ちゃん?」
「夢月です、今日もデートらしいんで」
「おっ前はまた……流石にウザがれる年頃に差し掛かってる気がするんだけど」
思いっ切り呆れた顔をされたが、手を止めずにガタガタとキーボードを叩いて行く。
だってデートですよ。
前回も何か、物凄く仲良さそうにしてた相手と。
しかも今回は、9Kの監視だって付いているか分からないのだ。
連絡したけど、普通に無視された。
多分向こうにはウザいって思われているんだろう、俺9Kの担当じゃないし。
仕事じゃない以上、メールを返す必要も無いしね。
という事で、この目で確かめる他無い。
「いい加減シスコン卒業したら? アンタも良い歳なんだし」
「余計なお世話です」
「言い方悪いけど……捉え方を変えれば、“信用してない”って思われるかもよ? ただでさえ、あの歳の子は難しいんだから」
早乙女さんの言葉を聞いた瞬間、ピタッと指が止まった。
信用……していない?
確かに、そう言えるのかもしれない。
だとすれば、俺が毛嫌いしてきた両親と同じ事をしているのではないか?
違いがあるとすれば、ちゃんと言葉にして褒めているだけ。
けどコレに対して、夢月自身が“信用されていない”と感じてしまったら……それは、どんな違いがある?
何をしても、認めてくれない。
もっともっとと要求されるばかりで、妹だって不満が爆発したんじゃないのか?
そんな中、俺の所へ逃げて来てくれたのに……そこでも、俺は同じ事をしてしまっているのか?
だとすれば、それは。
「それだけは嫌だぁ……」
「ちょいちょいちょい! 白川君!? どうした急に! もしかして私地雷踏んだ!?」
全力で、脱力した。
キーボートに突っ伏す勢いで、それはもうズドンッ! と倒れ込んだ。
待って待って、そんな風に妹が感じていたとしたら、マジで死にたくなるんですけど。
俺はアイツの才能を伸ばして、更には本人が“楽しい”って思える方向に促したかった。
ウチは、というか母親が、かなり娯楽ってモノに否定的だったので。
その影響で、俺は思いっ切り反発した訳だけど。
中途半端にやって時間を使うくらいなら、ちゃんと実になる事を覚えろという教育方針。
大人になれば分かるが、それは確かに間違っていない。
だがしかし、それを若い者に言ったところで……不満ばっかり溜まるでしょって感じな訳で。
それに“そういう時期”の中途半端な経験だって、物凄く大事だと思っているので。
全力で妹のやりたい事を肯定して来たつもりだったが。
どうしても、“心配”の方が強かったのは否めない。
だからこそ早乙女さんの言葉が、深く胸に突き刺さった気がした。
「白川君!? ホントどうした!? ゴメンって! 私が悪かったから!」
此方の肩をガクガクと揺らして来る早乙女さんに対して、ろくな反応が示せぬまま。
なんだかもう特大の自己嫌悪に陥りそうになっていた所で……ピポンっと、パソコンから通知音が。
のそ~っと物凄く遅い感じに、頭を上げてみると。
『何かもう面倒臭いんで、そのままメール本文送りますね。こっちも忙しいので』
そんな文章と共に、4cardの担当サポーターからの連絡が。
そして。
『本日、シックスと偶然遭遇した。デートだという事で、相手と合流するまでは行動を共にしたのだが……少々相手が頼りなく感じてしまい、俺の方でも護衛を務めた方が良いと提案する。これをシックスのサポーターに伝えてもらえないだろうか? 余計な世話だとは理解しているのだが、行動の許可が欲しい』
という、おそらく4cardから頂戴したメッセージがそのまま記載されていた。
これを見た瞬間、カッと瞼を開き。
「早乙女さん、俺帰りますね。有給でも欠勤でも何でもどうぞ、勝手に帰ったって報告してもらって大丈夫なんで。例えウザがられたとしても、夢月の安全が第一です」
「ちょっと待てシスコン! 行動力! 逆に判断能力は著しく低下してるから! 分かった、時間作れる様に調整してあげるから! 私の方でも協力するから! 妹のデート一つで自分の評価落とす様な真似するな馬鹿! お前社会人だろうが!」
という事で、早乙女さんから取り押さえられてしまうのであった。
クソッ……こうなったら。
俺の方から、4cardに依頼を出しておくか?
割と、マジで。
◆
「エイトさ~ん、遊びに来ましたよ~?」
『ま、待ってくださいファイブ! ちょ、ちょっとまだ準備が!』
相手の家を教えてもらったので、お出かけのお誘いをしてみた結果。
「わ、私なんかと出掛けても全然面白くないっていうか……むしろファイブの時間を無駄にしちゃう気がしてならないんですけど……」
みたいな、無限ループに陥ったので。
んじゃ週末、迎えに行きますね~? 遊び行きましょー。
的な感じで、無理矢理予定を取ってみたのだが。
ガチで相手の家まで行って、とりあえずインターフォンを押してみた結果。
何度も聞いた声が、向こう側から聞えて来た。
エイトはホント自信ないっすねぇ~、てのは知っていたけど。
実際にはあっちもこっちも興味があるのに、引き籠っちゃう癖があるらしく。
それじゃ勿体ないっしょーてな具合に、デートに誘ってみた訳だ。
物凄く無理矢理だったけど、それでも本人は了承したてくれたのだが。
アパートの扉の向こうから、バタバタと慌てている様な音が聞こえて数分後。
「お、おおおお待たせしました……すみません、遅くて、ホントにすみません……」
出不精と表現するんだったか。
どこまでも外出を嫌う、というより面倒くさがる人の事。
これに、octopus8は見事に当て嵌まっており。
更にはガンサバ以外のお仕事は、あんまり上手く行ってないって話を聞いたので。
余計なお世話ながら、賞金首のチャラ男代表格が引き籠りシスターさんを連れ出しに来ましたよっと。
「す、すみません。ファイブに比べて、私滅茶苦茶ダサイですよね……これくらいしか、服、なくて……ですね」
「うんにゃ、別に気にする必要ないっすよ? 元が良いんですから、何着たってエイトは綺麗っす。美人は得っすねぇ」
なんて事を言いながら、ニカッと笑ってみせれば。
相手は真っ赤な顔でそっぽを向いてしまったけど。
とはいえ全然外に出てない、でも変わりたい~って話は。
本人からも、此方がクラフトの相談をする度にちょこちょこ聞いていたので。
今日は恩返しの意味でも、連れ出しちゃうよ~?
「で、でもですね……やっぱり私と一緒に出掛けても、全然面白くないっていうか……」
「さぁって、それはどうでしょうねぇ?」
ニッといやらしく笑いながら、スマホの画面を相手に見せた。
そして、そこに書かれている文章を読み上げた彼女は。
少なからず、俺と対面した緊張時より生気の有る表情を浮かべたではないか。
「フォーからの連絡っす。またデート予定のシックスを見つけたんだけど、今回はボディガードの依頼受けてるか~って。気になりません? シックス、あんなに小っちゃい可愛い子ですし。ちなみに俺は、そういう話来てないっす」
「き、気になります! リアルシックスは私から見てもか弱いので! 心配です!」
「であれば、こっそり覗きに行きましょうか。問題無ければ、ただの覗きっすけど。これでエイトも共犯っすねぇ~」
ケッケッケと笑えば、急に態度を変えてブンブンと首を縦に振るoctopus8。
とはいえ、理由は明白。
彼女が賞金首の中で、一番仲が良いのが6keyなので。
ダシに使う様で、シックスには申し訳ないが。
この人を連れ出す為の言い訳として使わせてもらった。
正直こんな俺からしても、この人社会不適合レベルが凄いのだ。
だったらまずは、部屋の外へと連れ出す所からでしょってなもので。
ホント、余計なお世話かもしれないけど。
「車ありますんで、一緒に行きましょうか~」
「お願いします! ぁ、でも……邪魔しちゃったりとかしたら……それで嫌われたら、結構本格的にショックなのですが……」
「もしも見つかったとしても、シックスならエイトを見つけて喜ぶんじゃないっすか? 何だかんだ言っても、賞金首の女性メンツは皆仲良いっすからね」
「で、ですかね……だったら、嬉しいん……ですけど。エヘヘ……」
とりあえず、シックスには「邪魔しちゃったらゴメンなさい」とだけメールしておいた。
さって、そんじゃ出かけますかねぇ。
エイトには散々クリエイト方面でお世話になってるし、更には俺の方でも良いなって思えるくらいこの人の魅力を見つけ始めているので。
そんな人が部屋の中で、しかも自覚する程腐っているっては……正直、勿体ないっしょ。