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「どこにいる?子供が遊んでいい時間は終わったぞ?」
3杯めのワインに口をつけたところで、響から着信が来た。
「…真莉ちゃんと飲んでる。もうすぐ帰るから響は先に寝なよ」
「…アホか?お前が帰ってこないのに眠れると思うか?」
有無を言わさず迎えに来るという。
「…いいよ!友達に悪いし…」
いや…正直助かる…と、真莉ちゃんがコソッと言ったことは、私の耳には入らなかった。
「場所を言わないならGPSで追うからな」
え?いつの間にそんなもの入れたの?
聞いてないよーっ?
と叫ぶ私を無視して、響は着信を切った。
…………Side真莉
ワインを飲み終わって、次の酒を俺によって禁止されてむくれる琴音。
その時、店の扉がガラっと開いて、こんな店にはまったく似合わない、長身の男が入ってきた。
やべーほどカッコいいな…と、同性ながら目を離せずにいたら、案の定半分潰れてる琴音の前で止まった。
「は?男?」
恐ろしいほど整った顔立ちをやや歪めて、怪訝そうな目を俺に向けた。
「真莉ちゃんのこと?男だよ?だからどうした?」
酔っ払いの意味のない腹立ちを感じたのか、そばに立つ男のお腹に一発パンチをお見舞いしてやろうと身構える琴音。
それを何なく防いだうえで、琴音の手首を掴まえて、不穏な声で男が言う。
「男と飲んでるなんて聞いてないぞ」
そのうち両手首を掴んで、琴音に顔を近づけて言うこの男の仕草は…妙に、甘い。
その証拠に、琴音に近づいた彫りの深い目は、思いを隠すように揺れている。
「…あのー。俺は中学の時の同級生で。ただの友達っす。性別を超えた親友っていうか…」
ギロっと鋭い目を向けられて、ふつーに怖い…。
「琴音に魅力を感じないっていうのか?」
「…可愛いとは思いますけど、俺のタイプじゃないので…兄妹感覚なんです」
ドカっと、俺と琴音の間に座った男は片腕にしっかり琴音を巻き取り、ジタバタするあいつを閉じ込める。
「…あの、真莉水樹っていいます」
「俺は武者小路響だ」
琴音を自分の陣地に入れて少し安心したのか、響さんの口調が柔らかくなったのを感じた。
それに安心して、就職先が武者小路グループだと話そうとすると…
「痛っ…!」
響さんが急に眉根を寄せる。
「この女…噛みつくとか、マジか?」
体の自由を奪われたのが気に入らなかったらしい琴音、響さんの腕に噛みついたらしい。
「琴音お前、ありえねぇ…」
「…可愛いことするじゃん」
え?…アリなんっすか?
ほぼ同時に呟いて、響さんの半笑いに驚いた。
「…この顔…!」
響さんの腕にカプっと噛みついてる顔は、確かに可愛い。
でも自分がされたら普通に引くと思う。
痛いし…なんか子供みたいで、アホっぽいし。
響さんに見つめられて、琴音はそっと口を離した。
しっかり残る歯型。
それを愛しそうに撫でる響さん。
なんだコレ…とんでもない溺愛じゃん…。
「あの…そろそろ俺、帰りますね」
多分琴音は大丈夫だ。
何が不安なのか、終始モジモジしていたけれど。
きっとあれだ。
俺が思った通り、響さんに惹かれていくのが怖い…って、そういうことなんだろう。
コメント
2件
真莉ちゃんは 琴音ちゃんのことを「兄妹感覚」って言ってたけど、 はたして 本当なのだろうか⁉️ 多分好意はもっているのだと思うけど🤔 いずれにしても やたらとイケメンに好かれる琴音ちゃん....🤭w しかも本人は無自覚😂 響は心配でたまらないだろうなぁ~😁
他の男にドン引き=͟͟͞͞(꒪ᗜ꒪ ‧̣̥̇)くらいのジェラスィーなのに、その相手が琴音ちゃんの事なんとも思ってないと言うと、安心😮💨どころか可愛くないって事かって半ギレ🤣なんなのよー響ぃぃぃ🤣 でも、そんな響がスキ😍