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『見つけてしまった』直樹side
兄貴が、僕の部屋に入った気配に気づいたのは、玄関を開けた直後だった。
「ただいま〜…..」
「じ、潤也……?」
部屋のドアを開けると、兄貴は僕の机の前で何かを握っていた。
僕はその瞬間、血の気が引いた。
(まさか……!)
「あっ、直樹!おかえり。ごめん、勝手に入って。探し物してたら――」
兄貴は何も言わずに、ノートを僕の机に戻した。
でも、目が合った時、何かが確実に変わったのがわかった。
いつもの兄貴の笑顔じゃない。
強がって笑うときの顔でもない。
まるで、ずっと隠していた何かを、やっと認めた人みたいな目をしていた。
「….なんで勝手にーー」
「直樹」
低く呼ばれて、僕は息を飲んだ。
「……お前、俺のこと、そんなふうに思ってたの?」
その声は、少しだけ震えていた。