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あの子は花が好きだった
こんなド田舎に引っ越してきた都会人は珍しくて
僕はついつい話しかけてしまった
なまりとか大丈夫かな。
分かるかな。
そんな思いで必死に話す僕がおかしかったのか、ふふっと笑うあの子が可愛かった。
下校時、道に生えてる花を沢山教えてくれた。
僕は何も分からないけど、
何一つ分からないけど、あの子が話す話が好きだった。
花言葉も一つ一つ教えてくれた。
赤い薔薇は「あなたを愛します」とか…「熱烈な愛」とか…沢山あるらしい。
僕はあの子が好きだったけど、他の子はそうじゃなかったみたい。
あの子の机にはまいにち、落書きがされた。
あの子の家の塀にも。
村では都会人は追い出される運命なのかな
そんなの悲しいよね
日に日にあの子の顔が曇っていく。
僕と話すときは少し楽しそうだけど。
元気付けたかった。
でもダメだった
あの子は黒い百合とピンクのガーベラを置いて都会へ戻ってしまった
ピンクのガーベラは「感謝」「崇高美」「思いやり」
黒い百合は…「私を忘れてください」
忘れられるわけが無いよ。
大人になって、僕は上京した。
とにかくあの子を探したかった。
どこにいるか分からなくて、とりあえず色んな花屋を見たり…あの子が話していた美味しいカフェをみたりした。
東京は広いなぁ。
見つからないや。
30をもうすぐで迎える。
家に帰るために階段を降りていると
手に綺麗な花を持った女性とすれ違う。
僕はあの子を知ってる。
「「待って」」
2人揃って。
僕は確信してから話す
「白いカーネーションの花言葉 知ってますか」
かつて、君が好きだと言っていた花を。
君が持っている花の花言葉を。
コメント
18件
うわぁぁぁ!!!!!!やば!!え!!!やばばば!!!!(?)
白いカーネーションの花言葉は 「純潔の愛情」「尊敬」「貴方への愛は生きている」