テラーノベル
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少し高級感のある木造の扉を開けた。
そこは喫茶店だった。
カフェかもしれないが、どうでもいい。
店名は「笑林気(エリンギ)」
控えめなJAZZが珈琲の香りと共に
日常と分断された店内の雰囲気を作る。
味のある木のカウンターに
レザーの座りやすいレトロな椅子。
セカンドストアが併設しており、
店内の飲食スペースまで侵食していた。
古い年代の珍しげな物品が飾ってある。
裏に値段のラベルが貼られていた。
椅子に腰を掛けてメニューを開く。
手書きの文字がとても可愛らしくて、
つい口元が綻んでしまう。
珈琲はホットのみで、軽い食事も出来る。
オムライス、スパゲッティ、ハンバーグ。
どれもリーズナブルで美味しそうだ。
つまるところコスパがいい。
ページを捲った。これまた可愛い文体。
プリン、ショートケーキ、クッキー。
甘い物の欄のようだった。
いいお値段だ。こだわりがあるのだろう。
その中でお勧めを聞いてみる。
ふむふむ、ショートケーキが人気か…
じゃあそれで。リピーターも多いらしい。
しばらく洒落た照明や売店の商品を
ジロジロと見つめていると、
店主の珈琲豆を挽く動作が目に入る。
注文を受けてから挿れるタイプ。
勝手に期待をしていると、美人な看板娘が
これまた良さげなお盆で運んで来る
ショートケーキとホットコーヒー。
皆が認める最強コンビだ。
さて、どちらから味わおうか。
悩んだ末に珈琲を一口啜る。
強過ぎないまろやかな酸味が強めの苦味を
上手く包んでいた。香りも良い。
珈琲豆の味になっている口の中に
ショートケーキをフォークで突ついて
放り込むと、濃厚なクリームが広がる。
苺の酸味も丁度良く、スッキリしている。
珈琲とものすごく合う。 交互に味わって、
幸せとはこういうことなんだな
と、勝手に自分で哲学の結論を出した。
陽光が観葉植物を照らして美しい。
窓も大きめなので、街の様子も伺える。
会計を済ませると、商店の方に向かった。
最奥には何年前なのか気になる程古い
お守りのような異型の何かに紐を付けて
キーホルダーにしているようだった。
これはこれでお洒落で、
自分がいつも穴場の雑貨屋で買う物に
よく似た雰囲気を感じた。
不気味で不思議で浪漫に溢れる面白い物。
自然に笑みが溢れてレジに向かう。
軽い足取りで店を出ると、ゲットした
キーホルダーを見つめて、歩き出す。
さて、次はどんな店に出逢えるだろうか。
喫茶店とカフェの違いは曖昧だなぁ。
黒音
🧸青のにゃんこ
4,160
そんな事を考えながら、思い出を求めて。
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