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疲れた。
まさか、街道にワイバーンが居座っているとは……。ギルドボードに載っていなかったということは、昨日今日やって来たばかりなのだろう。あれほどの規模の群れとなると、私が倒すのはまあ……無理だな。強がりも言えない。
風の魔道具を稼働して、全力で逃げたおかげで荷物は無事だが……おかげで、魔力も体力も尽き果ててしまった。これは数時間寝る程度では回復しそうにない。
思えば旅に出たばかりの頃はこんな事ばかりだったが、それでも次の日には元気になっていたものだ。 ……これが歳を取るということか。
しかし困った。彼らに道を塞がれ、本来の目的地とは違う街に入ってしまった。この街には入りたくなかったのだが……。
宝石達は新天地に胸が高鳴っているようだが、私としてはあまり渡したくない所だ。
なんせこの街にはダンジョンがある。誰かが命をかけている手前、自分もなにかが擦り減るような心地がする。その当人たちがどんなに野望や希望を抱いていたとしても、私はその空気感が好きになれないのだ。
それに、あんまり早く持ち主がいなくなっては、宝石達が憐れだ。彼らは悠久の時を生きるのだから。
……私も長生きしなくてはいけないな。そろそろ用心棒も考えなくてはならなそうだ。
とにかく、今日は疲れた。少し早いが、もう眠るとしよう。それでは、おやすみなさい。